超音波検査によるインスリン注射部位の皮下組織評価

DOI
  • 長田 剛
    国家公務員共済組合連合会高松病院検査科
  • 村尾 敏
    国家公務員共済組合連合会高松病院糖尿病内分泌内科
  • 齊藤 弘子
    国家公務員共済組合連合会高松病院看護部
  • 厚井 文一
    国家公務員共済組合連合会高松病院内科

書誌事項

タイトル別名
  • Ultrasonographic evaluation of subcutaneous tissue at insulin injection sites

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抄録

<p>インスリン自己注射を行う際には適切な手技で皮下組織に薬剤を到達させる必要があり,不適切な注射手技により皮下硬結が生じた場合には,インスリンの吸収の変化により血糖管理に悪影響を及ぼす可能性がある。皮下組織の異常を把握するためには,視診や触診で皮下出血や皮下硬結を確認していることが多く,超音波検査(ultrasonography; US)で皮下組織の評価を行うことは少ない。今回我々は,USでインスリン療法患者の皮膚・皮下組織の評価を行いUS所見の傾向を知るとともに,USがインスリン注射手技の評価などに活用できるかを目的として検討を行った。対象は2013年11月から2016年12月に,USで皮膚・皮下組織の評価を行ったインスリン療法患者35例とした。硬結触知や皮膚色調変化を呈する注射部位のUS所見は対照側と比較して皮膚層が有意に厚く,皮膚層および皮下脂肪層のエコー輝度が有意に低い値を示し,皮膚層と皮下脂肪層の境界の不明瞭化や皮下脂肪層の層構造の消失を認めた。従来の視診や触診と比較し,USでは広範囲を効率よく観察することが可能であり,皮膚・皮下組織の変化部位を視覚的に認識できることから,より客観的な評価が可能となる。さらには,注射手技の是正や注射部位のローテーションなどの患者指導に応用することで,良好な血糖管理に寄与できる可能性がある。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 67 (4), 462-468, 2018-07-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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