遺伝子解析装置i-densyとマルチタイプ試薬を用いた大腸癌FFPE検体のRAS遺伝子変異検査の検討

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  • Evaluation of genetic analyzer i-densy and RAS gene mutation test of primary colon cancer FFPE specimens using the multitype universal pack

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抄録

<p>RAS遺伝子変異検査は大腸癌治療における分子標的薬の使用適否や治療法の選択上,極めて重要である。その遺伝子変異検査には体外診断用医薬品を用いるなど分析的妥当性が確認された検査法を用いることが推奨されているが,導入経費や運用コスト,検査所要時間等,改善すべき課題や問題が存在するのも事実である。今回,遺伝子解析装置i-densy IS-5320(アークレイ)を用いてRAS(KRAS/NRAS)変異測定系の構築を行いIVD試薬であるRASKET(MBL)と比較検討を行ったので報告する。当院21例の大腸癌を対象とし,遺伝子検査専用のパラフィン包埋ブロックを作製後,KRASエクソン2,3,4とNRASエクソン2,3変異検査を実施した。結果,RAS変異の有無ならびに変異領域すべてにおいてRASKETと一致した。変異頻度が低いマイナー変異においても良好な結果であった。マルチタイプ試薬を用いた本系の測定時間は120分以内と短時間であり,1個の試薬パックに集約化することで効率化を実現し,操作工程も簡素化が実践できた。加えてBRAF遺伝子変異検査が同時測定可能であることから大腸癌における抗EGFR抗体薬の無効予測因子の網羅率が向上した。分析的妥当性においてもIVD法と同様に遜色のない測定法であることが示唆され,院内遺伝子検査において十分に利用可能であり,有用性が高い測定系と考えられた。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 67 (4), 503-511, 2018-07-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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