生体深部イメージングのための近赤外蛍光ナノ粒子の生体適合ポリマー修飾による低毒性化
書誌事項
- タイトル別名
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- Reduced Toxicity of Near-Infrared Fluorescent Nanoparticle by Covalent Modification of Poly(Ethylene Glycol) for <i>In Vivo</i> Deep Imaging
抄録
<p>【背景・目的】波長1000 nmを超える近赤外蛍光を発するナノ粒子は、生体深部のイメージングプローブとして有用である。種々の近赤外蛍光ナノ粒子は、生体適合性ポリマーであるpoly(ethylene glycol) (PEG) での表面修飾による応用が試みられてきた。しかし、従来のPEG修飾は主にナノ粒子表面への静電的吸着によるものであり、生体内におけるPEG修飾の安定性に問題があった。本研究では、代表的な近赤外蛍光ナノ粒子である希土類含有セラミックスNaYF4:Yb3+,Er3+ナノ粒子に配位したpolyethylene imine (PEI) に、PEGを共有結合で強固に修飾し、生体内における安定化と低毒性化を試みた。</p><p>【方法】水熱法により粒子径60 nmのPEI修飾NaYF4:Yb3+,Er3+ナノ粒子(PEI-NPs)を合成した。このPEI-NPsの表面に、PEGの片末端にpoly(acrylic acid) (PAAc) 構造を有するPEG-b-PAAcを、静電相互作用もしくはアミド結合により導入し、PEG-NP (e) およびPEG-NP (a) を得た。各PEG-NPsの分散安定性ならびに細胞毒性を評価すると共に、各ナノ粒子をICR系マウスに静脈内投与(50 mg NaYF4/kg bwt)し、全身腹側の血管を非侵襲的に造影・観察した蛍光像(励起980 nm、蛍光 1550 nm)の経時的変化を近赤外カメラにより撮像した。投与96時間後のマウスから肝臓を採取し、組織病理学的分析に供した。</p><p>【結果・考察】PEG修飾後のPEG-NP (e) および PEG-NP (a) の粒子径は、どちらも70 nmであった。PEG-NP (a) は PEG-NP (e) と比較してリン酸緩衝液中での安定性が向上し、細胞毒性が低減した。PEG-NP (e) は静脈内投与後30分以内に肝臓に集積し、投与96時間以内に肝臓内での出血を伴う重篤な炎症を引き起こしたが、PEG-NP (a) は血中滞留性が向上すると共に肝臓への集積が減弱し、肝臓での炎症も顕著に低下した。本研究で示すようなナノ粒子の安定なポリマー修飾が、バイオメディカル応用に向けたナノ粒子の低毒性化を実現すると期待される。</p>
収録刊行物
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- 日本毒性学会学術年会
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日本毒性学会学術年会 45.1 (0), P-33-, 2018
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390564238006758016
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- NII論文ID
- 130007432019
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可