マウス反復投与毒性試験における血漿中薬物濃度測定用の反復マイクロサンプリング採血法の検討
書誌事項
- タイトル別名
-
- Establishment of Multiple Microsampling Method for Toxicokinetics of Repeated Dosing Toxicity Studies in Mice
抄録
<p>血漿中薬物濃度(TK)測定は毒性評価にとって必要不可欠である。マウスにおける毒性試験/がん原性試験ではTK試験のためにサテライト動物を設定し、一個体から1時点の採血を実施して血中動態を評価しているため、試験規模が大きくなる。同一個体から複数時点のマイクロサンプリング採血が可能となれば、使用動物数の削減及び作業効率の向上に寄与するだけでなく、同一個体から複数時点のTKデータが得られ、薬物動態評価に有用である。我々は、C57BL/6J Jclマウスを用いて同一個体より複数時点のマイクロサンプリング採血(40 μL/回)を実施し、一般状態、体重、摂餌量、血液学的検査、血液生化学的検査、剖検、器官重量及び病理組織学的検査について、採血の影響及びその回復性を確認した。</p><p>採血日を含む回復期間中において、一般状態、体重、摂餌量、血液生化学的検査、剖検及び病理組織学的検査では異常はみられなかった。雌の3時点採血(2週間回復)群ではMCV及びRDWの軽微な高値、6時点(4週回復)群ではヘマトクリットの軽微な高値がみられ、採血後の貧血からの回復過程における造血亢進が示唆された。器官重量では3時点採血(2週間回復)群の雄で肺重量の低値、雌で肝重量の高値がみられたが、これらはいずれも軽微な変化であり、病理組織学的検査には異常はなかった。6時点(4週回復)群では、雄でリンパ球の減少がみられたが、減少の程度も小さく病理組織学的検査において脾臓や胸腺に異常がなかったことから、生理学的意義はないと判断した。以上のことから、マウスのマイクロサンプリング採血を実施する場合には、初回採血時に3時点までであれば2週間の回復期間、4-6時点までであれば4週間の回復期間を設けることで、同一動物からの反復採血が可能である。ただし、より短い回復期間で4時点以上の採血をする場合には、さらに検討が必要である。</p>
収録刊行物
-
- 日本毒性学会学術年会
-
日本毒性学会学術年会 45.1 (0), P-254-, 2018
日本毒性学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390564238009722112
-
- NII論文ID
- 130007432032
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可