活性イオウ分子を基軸とする有害金属研究の新展開  [in Japanese] New development of the hazardous metal research centering on reactive sulfur species  [in Japanese]

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Author(s)

    • 熊谷 嘉人 KUMAGAI Yoshito
    • 筑波大学医学医療系 環境生物学分野 Environmental Biology Laboratory, Faculty of Medicine, University of Tsukuba

Abstract

<p> メチル水銀(MeHg)とカドミウム(Cd)は日本で起きた公害の原因物質であり、健康リスクの面から未だに危惧されている有害金属である。MeHgとCdの生体影響から分子レベルでの毒性発現機構の解明は世界中で広範に行われてきた一方で、これらの金属に対する生体応答・適応に関する研究は、メタロチオネイン等を除いて明快には解かれていない。我々は両者の標的臓器は異なるものの、共にタンパク質の求核置換基に共有結合(一部は配位結合)する"親電子性"を有している点に着目して、ケミカルバイオロジーを基盤とした研究を展開してきた。</p><p> MeHgおよびCdは有害性を示さない低濃度において、反応性の高いシステイン(CysSH)残基を有するセンサータンパク質を特異的に化学修飾して、親電子物質の解毒・排泄、細胞生存やタンパク質の品質管理に関わるレドックスシグナルを活性化した。本シグナル活性化を阻害あるいは応答分子をノックダウンすると、MeHgおよびCdの細胞毒性は増強することから、一連のレドックスシグナルの活性化は当該有害金属に対する環境応答のひとつであることが示唆された。</p><p> 神経疾患や循環器疾患の防御因子として活性イオウ分子(RSS)が注目されている。RSSはGSHやCysSHに過剰なイオウ原子が付加したパースルフィドやポリスルフィドであり、高い求核性および抗酸化性を有することから、我々はRSSがMeHgやCdの捕獲・不活性化に関係するのではないかと考えた。非細胞系、培養細胞およびマウスを用いた検討を行い、RSSはMeHgおよびCdのイオウ付加体の生成を介して、当該有害金属曝露によるレドックスシグナル変動および毒性を負に制御していることを見出した。本講演では、我々がこれまで得た研究成果を紹介して、MeHgおよびCdの新しいリスク軽減因子としてのRSSの重要性および新たな研究戦略について考察する。</p>

<p>[in Japanese] </p>

Journal

  • Annual Meeting of the Japanese Society of Toxicology

    Annual Meeting of the Japanese Society of Toxicology 45.1(0), SL7, 2018

    The Japanese Society of Toxicology

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