福岡県の家庭料理 主菜の特徴

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書誌事項

タイトル別名
  • Fukuoka prefecture home cooking: main dishes<br>Features of main dishes
  • 日常の食と郷土料理の起こり
  • Daily meals and the story of local cuisine

抄録

【目的】「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」では、全国に残されている特徴ある家庭料理について、聞き書き調査を通して地域の暮らしの背景とともに記録し、次世代に伝えることを目的としている。本研究では九州支部の調査で得られた家庭料理の中から特に「主菜」の特徴について検討した。<br>【方法】日本調理科学会特別研究の調査ガイドラインに基づき聞き書き調査を行った。調査地区は北九州地域(5名)、筑豊地域(2名)、福岡地域(9名)、筑後地域(9名)の4地域。調査期間は平成24年~25年度。対象者は昭和35年~45年当時の調理担当者とし、平均年齢は74.0±6.1歳であった。<br>【結果】日常の食事は質素で、主菜は野菜の煮物が主であった。朝食は主菜がなく、ご飯とみそ汁に漬物が添えられる程度であった。昼食も特に主菜はなく、残り物や漬物などで済ませていたが、夕食では肉類や魚介類と季節の野菜を煮て主菜とした。食材としては肉類では牛、豚肉はほとんど食べられず、鶏肉もハレの日には鶏一羽をつぶしてご馳走としてふるまうが、少量を味付けに使用していた。また、くじら肉は4地域で食べられ、特に筑豊の産炭地では塩くじらが好まれていた。魚貝類は玄界灘に面した福岡地域では新鮮な魚の煮つけ、塩焼き、県南の筑後地域は有明海の魚介を煮つけ、塩焼きとした。山間部では塩干品を、筑後川中流域では川魚を用いた。さらに、大豆・大豆製品は煮豆、豆腐、油揚が用いられていた。これらの主菜に加え、野菜は季節ごと食され、調理方法は煮物が主であった。特に少量の鶏肉を用い、野菜類と共に油で炒めて煮た「がめ煮」は4地区に共通してみられ、福岡県の歴史や生活の中から産み出された独自の調理法で広く伝承されていた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713058178048
  • NII論文ID
    130007479312
  • DOI
    10.11402/ajscs.30.0_244
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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