進学期待の階層差に関する媒介メカニズムの検討

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書誌事項

タイトル別名
  • Socio-Economic Differentials in Japanese Eighth-Grade Students' Educational Expectations
  • 中学生の学力自己評価に着目して
  • An Examination of Mediation Effects of Students' Academic Self-Evaluation

抄録

<p> 本稿では,2006年にベネッセコーポレーションが実施した「学習に関する意識・実態調査」と「学力実態調査」のマッチングデータを用いて,中学2年生の進学期待に対する出身階層の影響が「学力自己評価」という主観的要因によって媒介されているかどうかを検討した.成績自己評価と「がんばればとれると思う成績」という2つの指標に着目して「学力自己評価」を測定し,「出身階層→学力自己評価→進学期待」という媒介メカニズムについて検討した結果,以下の知見が得られた.第1に,ペーパーテストで測定された学力を一定とした上でも,大卒の父親をもつ生徒は成績自己評価が高い傾向がある.第2に,学力と成績自己評価を一定とした上でも,大卒の母親をもつ生徒は「がんばればとれると思う成績」が高い傾向がある.第3に,進学期待に対して成績自己評価や「がんばればとれると思う成績」が(学力とは独立に)影響を与えている.第4に,進学期待に対する出身階層(父親と母親の学歴)の効果の一部が成績自己評価と「がんばればとれると思う成績」という主観的な要因によって媒介されている.この結果から,現代日本において「出身階層→学力自己評価→進学期待」という媒介メカニズムが存在していることが示唆される.ただし,学力に加えて「学力自己評価」による媒介を考慮した上でも,進学期待に対する出身階層(父親と母親の学歴)の(直接)効果は残ることが確認された.</p>

収録刊行物

  • 社会学年報

    社会学年報 45 (0), 75-85, 2016-12-26

    東北社会学会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845713002182528
  • NII論文ID
    130007486937
  • DOI
    10.11271/tss.45.75
  • ISSN
    21879532
    02873133
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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