ウシ精子におけるアクアポリン3および7の発現・局在と凍結融解後の運動性との関連性

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  • Expression and localization of aquaporins 3 and 7 in bull spermatozoa and their relevance to sperm motility after cryopreservation

抄録

<p>【目的】牛の人工授精では,凍結保存精液が利用されているが,現在の凍結保存技術でも凍結融解後のウシ精子は約30–50%が死滅する。ウシ精子凍結保存技術をさらに高度化・効率化するためには,ウシ精子の凍結傷害に関わるメカニズムについて,分子レベルでの理解が必要である。本研究では,水や耐凍剤であるグリセリン(GL)を効率的に透過させる膜内在性タンパク質のアクアポリン(AQP)3および7に着目し,ウシ精子における発現・局在と凍結融解後の運動性および細胞膜・先体膜性状との関係を調査した。【方法】ホルスタイン種若雄牛9頭(牛. A–I)から新鮮射出精子を採取し,GLを含む希釈液により希釈冷却後,凍結保存した。実験1:凍結融解精子(牛. A)におけるAQP3および7発現をウエスタンブロット(WB)により解析した。実験2:新鮮射出,希釈冷却および凍結融解精子(牛. BおよびC)におけるAQP3および7の局在性および発現量の変化を蛍光免疫染色およびWBにより解析した。実験3:凍結融解精子(牛. D–I)におけるWBにより評価したAQP3および7量と運動性(精子運動解析装置)および細胞膜・先体膜性状(PIおよびPNA-FITCによる蛍光染色)の関係を重回帰分析により解析した。【結果】実験1:AQP3および7に対応するバンドがそれぞれ42および53 kDaに検出された。実験2:AQP3は,精子の尾部の主部に局在していた。AQP7については,頭部および尾部全体に局在する精子と頭部および中片部に局在する精子が観察された。希釈冷却および凍結融解操作によりAQP3および7の局在性およびWBにより評価したタンパク質量は変化しなかった。実験3:凍結融解精子におけるAQP3および7量と運動性(前進運動精子率,平均通路速度,直線速度,曲線速度,直線性または頭部振幅)に正の相関関係が認められた。以上より,AQP3および7は凍結保存過程を通してウシ精子の主に尾部に局在し,特に運動性に関わる精子尾部の耐凍性と関連する可能性が示された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238025958912
  • NII論文ID
    130007489517
  • DOI
    10.14882/jrds.111.0_p-17
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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