マウス顆粒膜細胞の黄体化過程の遺伝子発現におけるゲノムワイド解析

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タイトル別名
  • Genome-wide gene expression analysis in mouse granulosa cells undergoing luteinization during ovulation

抄録

<p>【背景】LHサージによる顆粒膜細胞の黄体化過程では,急激な遺伝子発現変化が起こる。そこで,その過程におけるゲノムワイドな経時的遺伝子発現変化を調べ,細胞機能の変化を検討した。【方法】3週齢マウスにeCG 4 IUを投与,48 h後にhCG 5 IU投与前(0 h),投与後4 h,12 hの顆粒膜細胞を回収し,RNAシークエンスを行った。0 hと4 hの間および4 hと12 hの間で2倍以上の発現差があるものを発現変動遺伝子とした。発現変動遺伝子を発現の経時的変化によって8群に分類した。各群においてGene Ontology(GO)解析とKEGG pathway解析を行った。【結果】①12 hまで発現増加し続ける遺伝子はわずかに60遺伝子,②12 hまで発現減少し続ける遺伝子は,わずかに47遺伝子であり,いずれも有意なGO term,pathwayを認めなかった。③4 hで発現増加した後,12 hまで発現が変化しない遺伝子は989遺伝子であり,血管新生や排卵に関与する遺伝子を認めた。④4 hで発現減少した後,12 hまで発現が変化しない遺伝子は1114遺伝子であり,細胞増殖に関与する遺伝子を認めた。⑤4 hで発現変化せず,12 hで発現増加した遺伝子は806遺伝子であり,DNAの修復に関与する遺伝子を認めた。⑥4 hで発現変化せず,12 hで発現減少した遺伝子は627遺伝子であり,アポトーシスに関与する遺伝子を認めた。⑦4 hで発現増加した後,12 hで発現減少した遺伝子は1543遺伝子であり,ステロイドホルモン合成など黄体化において重要な役割をもつ遺伝子に加え,ヒストン修飾に関与する遺伝子を認めた。⑧4 hで発現減少した後,12 hで発現増加した遺伝子は965遺伝子であり,卵子成熟に関与する遺伝子を認めた。【結論】LHサージから卵胞破裂までの顆粒膜細胞の黄体化過程では,様々な機能的変化がみられるが,これは複数の遺伝子群の転写が短時間の間に活性化あるいは不活化することにより,調節されていることが示された。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238024524672
  • NII論文ID
    130007489733
  • DOI
    10.14882/jrds.111.0_or2-21
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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