小学校における胚発生の観察方法に関する実践的研究

書誌事項

タイトル別名
  • Practical research on the observation of embryogenesis of medaka in elementary school science classes
  • 小学校における胚発生の観察方法に関する実践的研究 : 固定胚の活用方法の提案
  • ショウガッコウ ニ オケル ハイハッセイ ノ カンサツ ホウホウ ニ カンスル ジッセンテキ ケンキュウ : コテイハイ ノ カツヨウ ホウホウ ノ テイアン
  • ―固定胚の活用方法の提案―
  • —A suggestion for the utility of fixed embryos—

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抄録

<p>小学校理科教科書第5学年「動物の誕生」では,ヒメダカ(Oryzias latipes)を観察材料として胚発生を観察し,その観察結果を記録してまとめる活動が扱われている.メダカの卵の中が変化して体が作られていく過程を理解するためには,卵の中の様子を一時点で捉えるのではなく,発生過程を継続的に捉えることが重要である.しかし,発生の観察において,無作為に採取した生きた胚の断続的な観察だけでは児童がメダカの発生段階を正しく認識できていないことが問題点として挙げられる.そこで本研究では,児童が生きた胚の発生段階を認識しやすくする補助が必要であると考え,ヒメダカの初期胚を発生段階を追って詳細に観察するとともに,いつでも目的の発生段階の観察が可能な固定胚を作製した.固定胚の適性を評価するため,大学生を対象として,生きた胚と固定胚において観察できる構造に差はないかを調べると,血管,血球,心臓など動きのあるものは生きている胚の方が識別できたが,他の構造や器官については大きな違いはなかった.そして小学生を対象として固定胚を一連の発生段階を示す標本として用いた発生観察の授業実践を行い,その有用性を検討した.その結果,生きた胚を観察して発生段階を考える上で,観察の補助として固定胚を用いた授業では教科書を用いた授業と比べて,メダカの卵の産卵後日数と発生過程のどちらにおいても,正しく認識できた児童の割合が高かった.よって,生きた胚の観察にいつでも各発生段階を観察できる固定胚を併用することは,教科書を用いて観察を行うより生きた胚の発生段階を認識できることが示唆された.</p>

収録刊行物

  • 生物教育

    生物教育 59 (1), 2-9, 2017

    一般社団法人 日本生物教育学会

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