新生児聴覚スクリーニングの費用対効果の検討

• 片岡 祐子

  岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科

• 菅谷 明子

  岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科

• 福島 邦博

  早島クリニック耳鼻咽喉科皮膚科

• 前田 幸英

  岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科

• 假谷 伸

  岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科

• 西﨑 和則

  岡山大学大学院医歯薬学総合研究科耳鼻咽喉・頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名

• The Cost-Effectiveness of Newborn Hearing Screening
• シンセイジ チョウカク スクリーニング ノ ヒヨウ タイ コウカ ノ ケントウ

抄録

　新生児聴覚スクリーニング (以下 NHS) を全例公費で実施した場合と, 全例実施しなかった場合で, NHS および要精密検査例を含めた難聴児の診断にかかる費用, その後に必要となる教育, 福祉, 補聴等にかかる公的費用について岡山県のデータをもとに試算し, NHS の費用対効果について検討を行った. 義務教育機関については NHS 実施例の方が非実施例よりも地域の公立学校 (難聴学級, 支援学級を含む) 進学率は7.6%高かった. また NHS 実施例の方が特別児童扶養手当受給開始は4.3カ月早く, 障害児福祉手当受給率は8.8%低く, 人工内耳装用率は6.9%高かった. NHS と精査, 教育, 福祉, 補聴にかかる公的費用は, 年間出生数16,000人の自治体を想定すると, NHSを実施した場合では795,939,526円, 非実施では807,593,497円であり, NHS を実施した方が11,653,971円低く, NHS を全額公費負担にしたとしても償還できる可能性が高いという結果であった. また NHS と以後の精査にかかる費用としては, 1段階 NHS と確認検査まで実施する2段階 NHS を比較すると, 2段階 NHS の方が経済的効率は高かった. 教育および福祉費用の軽減の背景には難聴児, 障害児の義務教育の受け入れ状況の年代による変化も関与している可能性はあり, 統計学的な限界はあるものの, NHS を全額公的助成で行う意義は十分あると考える.

収録刊行物

• 日本耳鼻咽喉科学会会報

  日本耳鼻咽喉科学会会報 121 (10), 1258-1265, 2018-10-20

  一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会

キーワード

• 新生児聴覚スクリーニング
• 費用対効果
• 小児難聴

詳細情報

• CRID: 1390001288095010304
• NII論文ID: 130007520452
• NII書誌ID: AN00191551
• DOI: 10.3950/jibiinkoka.121.1258
• ISSN: 18830854
• ISSN: 00306622
• NDL書誌ID: 029329764
• Web Site: https://ndlsearch.ndl.go.jp/books/R000000004-I029329764
• Web Site: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/121/10/121_1258/_pdf
• Web Site: https://search.jamas.or.jp/link/ui/2019049134
• 本文言語コード: ja
• データソース種別:
  • JaLC
  • NDL
  • Crossref
  • CiNii Articles
• 抄録ライセンスフラグ: 使用不可