小児マイコプラズマ肺炎における抗原迅速診断キットの有用性

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タイトル別名
  • Assessment of a Rapid Antigen Detection Kit for Diagnosis of <i>Mycoplasma pneumoniae</i> in Pediatric Community-Acquired Pneumonia
  • ショウニ マイコプラズマ ハイエン ニ オケル コウゲン ジンソク シンダン キット ノ ユウヨウセイ

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抄録

肺炎マイコプラズマ(Mp)抗原検出による迅速診断キット(リボテストマイコプラズマ(以下リボテスト):旭化成ファーマ)の有用性には一定の見解がない。2014年1月1日~2016年3月31日に当センターに肺炎で入院した小児を対象とし,入院時,咽頭拭い液からloop-mediated isothermal amplification(LAMP)法およびリボテストを施行し,また入・退院時のペア血清を用いてMp抗体価(PA法)を測定した。Mpの診断は,LAMP法が陽性またはPA法による抗体価が4倍以上の上昇とした。Mpの非流行期(2014年1月~2015年7月)および流行期(2015年8月~2016年3月)に群分けし,LAMP法とペア血清に対するリボテストの有用性を比較検討した。対象は1,140例であり,うちMp肺炎と診断した対象は237例(21%)であった。Mp肺炎に対するリボテストの感度は非流行期および流行期で各々23%(16/70),22%(36/167)といずれも低値であった。血清診断例(n=203)に対するリボテストの感度は,非流行期および流行期で各々25%(13/51),22%(34/152)であり,LAMP法と比べて有意に低値であった。リボテスト偽陽性は非流行期に16例(2%),流行期に6例(1%)であり,またリボテストの陽性的中率は,流行期の86%(36/42)より非流行期の50%(16/32)の方が有意に低値であった。多変量解析では,リボテスト偽陽性者は入院病日(発熱)が短く,他病原体の検出割合が高値であった(p<0.01)。Mpの診断には,感度や陽性的中率の低いリボテストはLAMP法などの検査より有用性が劣るため,総合的に判断することが重要である。

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