競争状況下でのリアルオプションと柔軟性の罠

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  • キョウソウ ジョウキョウカ デノ リアルオプション ト ジュウナンセイ ノ ワナ

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抄録

<p>本論文では,従来のリアルオプションの枠組みにゲーム理論を取り入れたモデルを構築し,不確実性下における競合企業の意思決定とその柔軟性の価値について分析を行う.通常,不確実性下において意思決定の柔軟性を持つことは企業にとって常に好ましいと考えられているが,競争状況下では必ずしもそれは言えないことが示される.本論文では,1期間後の需要が不確実で,2企業が存在する2時点の簡単な投資競争モデルを考え,競争的優位性が存在する一方の企業が,その優位性として意思決定の柔軟性を有するがゆえに,相手よりも不利になってしまう「柔軟性の罠」と呼ばれる状況を考察する.</p><p>具体的にはゲーム理論を利用して,2企業の投資競争を考えた場合に起こる均衡選択の問題を指摘する.このとき一つの企業に有利な均衡が選択されるような仮定を導入し,「柔軟性の罠」が発生することを例証する.さらに,柔軟性の罠が起きる一般的な投資費用の条件を示す.また他の投資費用の範囲では,どのような結果となるかも示す.最後に,1つの企業に有利な均衡が選ばれるとする仮定は,ゲーム理論の均衡選択理論を用いると,企業が投資した時の利得が僅かながら高いとすることによって導かれることを示す.</p>

収録刊行物

  • 現代ファイナンス

    現代ファイナンス 22 (0), 75-95, 2007-09-30

    日本ファイナンス学会 MPTフォーラム

被引用文献 (1)*注記

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