公衆衛生看護における保健師の現状と求められる能力

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タイトル別名
  • The present state of public health nurses and the necessary abilities
  • コウシュウ エイセイ カンゴ ニ オケル ホケンシ ノ ゲンジョウ ト モトメラレル ノウリョク

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抄録

<p>超高齢社会を迎えた我が国において,健康に関する国民の多様なニーズに対応するため,地域保健対策の主要な担い手である保健師の役割が変化・拡大している.地方自治体における保健師数は増加しているが,地域の実情を踏まえた活動を展開していくため,保健師の配置や役割分担について検討する必要があると考える.</p><p>地域保健対策においては,既存の地域保健対策に加え,ソーシャルキャピタルを活用した自助及び共助の支援を推進し,持続可能で地域特性を活かした健康なまちづくりや健康危機管理体制の確保などを推進することが重要であり,保健師は「地域における保健師の保健活動に関する指針」を踏まえて,活動を更に推進していく役割が期待されている.</p><p>このため,保健師は専門的な知識及び技術,連携・調整に係る能力,行政運営や評価に関する能力を育成していくことが非常に重要である.近年,保健師の教育課程は多様化しており,保健師の職務経験は経験年数により一様でない.そのため,キャリアラダーを用いて,個々の保健師の能力の獲得状況を的確に把握・評価し,体系的に人材育成を行うことが必要であり,人事部門,教育機関等と連携して推進することが望まれる.</p><p>さらに,保健師の効果的な保健活動やそのための人材育成を推進していくために,統括保健師の役割の重要性が高まっている.昨今発生している様々な災害においても,統括保健師の組織横断的な活動が重要である.地方自治体においては,これまでの保健活動を評価し,統括保健師を中心に検討,再構築していくことが求められる.地域住民が安心して暮らすことができるよう,成果につながる保健活動が推進されることを期待する.</p>

収録刊行物

  • 保健医療科学

    保健医療科学 67 (4), 413-421, 2018-10-31

    国立保健医療科学院

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