環境流量設定のための全球気候区分の改善と魚類の分布特性による検証  [in Japanese] IMPROVEMENT OF GLOBAL HYDRO-CLIMATIC REGIONS FOR ENVIRONMENTAL FLOW AND VERIFICATION BY DISTRIBUTION CHARACTERISTICS OF FRESHWATER FISH  [in Japanese]

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環境流量を効果的に設定するためには,大まかな流況パターンとそこに存在する生態系の特徴を知る必要があるが,発展途上国等の地域において生態系の特徴を現地で調査するのは困難である.そこで環境流量設定のための地域区分として,篠崎ら(2012)は水文気候区分を提案した.これは,流況の特徴に着目することで河川生態系の特徴をある程度表現できるという仮定に基づいている.しかし,この気候区分には問題点がある.1つ目は,生態系の特徴や構造が異なる地域が同じ区分に分類されるケースや,反対に生態系の特徴や構造が同じ場所が異なる区分に分類されるケースがある点と旧気候区分では各区分が離散的に分布し,環境流量設定の際に区別したい流域や大河川の上下流などによって包括される河川生態系のまとまりをうまく表現できていない点である.従って本研究では,この問題点を改善した新たな水文気候区分を作成し,さらに淡水魚類の分布特性からみた妥当性の検証を行う.1つ目の問題を解決するために,熱帯低気圧通過の有無を考慮することで,東南アジアやアメリカ南東部を安定型から差別化する.また,流量よりも最寒月平均気温を重視することで,融雪出水のある地域と熱帯地域を区別する.2つ目の問題点に関して,上の改善で得られた新気候区分が地理的にどの程度のまとまりを有しているか確認するために,まとまり率を用いて評価する.改善の結果,融雪出水のある地域を総じて融雪出水型に区分することができ,また,台風やハリケーンによる出水が特徴的な東南アジアやアメリカ南東部を,季節型として安定型から区別することができた.また新旧の水文気候区分でまとまり率を比較しところ,新区分では極乾燥地を除くまとまり率が旧区分に対して10%近く上昇した.さらに,気候条件と流況から作成した新区分が,実際の河川生態系の特質を反映できているのかを確認するために,魚類の分布特性に着目して検証を行った.検証には淡水エコリージョン(FEOW)を使用した.FEOWと新水文気候区分を重ね合わせた結果,一致率が向上していることがわかった.さらに,淡水魚類の固有種レベル,生物多様性レベル,通し回遊魚の有無を利用し,各FEOWに対応する代表水文気候区分に淡水魚類の分布特性に関するデータと比較した結果現実の魚類の分布傾向をより良く表現できていた.

Journal

  • Proceeding of Annual Conference

    Proceeding of Annual Conference 31(0), 86, 2018

    THE JAPAN SOCIETY OF HYDROLOGY AND WATER RESOURCES

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