Dīpaṃkaraśrījñānaが伝えたバリ儀軌について

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  • On the Works on the Ritual of Oblation Attributed to Dīpaṃkaraśrījñāna
  • On the Works on the Ritual of Oblation Attributed to Dipamkarasrijnana

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抄録

<p>チベット大蔵経の「秘密疏部」には,Dīpaṃkaraśrījñānaに帰せられる7種のバリ儀軌文献,Balividhi, Mahākālabali, Amṛtodayabalividhi, *Jalabalivimalagrantha, Nāga­balividhi, *Balipūjavidhiの著作と,Caturmahārājabaliの翻訳書が収録されている.このうち,Amṛtodayabalividhiは先行する儀軌の注釈書であるために,本稿ではこれを除いた6論について考察を行う.バリ儀軌の目的は,妨害者の慰撫であると述べられおり,これらの文献も同じ目的で著されている.</p><p>その内容に関して,Balividhiは,魔鬼に対する一般的なバリ儀軌の紹介書である.空性の修習と三密行の加持から始まり,供物であるバリの加持方法を紹介しているが,特定のバリ儀軌については言及されない.MahākālabaliNāga­balividhiCaturmahārājabaliは,それぞれ大黒とナーガと四天王を対象とする特定の儀軌であり,それぞれの対象に対する特定の方法が紹介されている.*Jalabalivimalagranthaは,水を対象とする特別のバリであり,その目的は,煩悩の火に苦しむ有情の苦を寂滅することである.*Balipūjavidhiは,バリによる供養について酒・手・マンダラ・身体のマンダラ・供物・聚輪の観点から解説したものであり,それぞれの加持と供養の方法が説明される.ただし,最後の項目の解説は欠落している.</p><p>また,これらの文献の相互関係は次のようになる.MahākālabaliCatur­mahārājabaliは’Brom ston pa,Nāgabalividhiと*BalipūjavidhiはRin chen bzang poとともに翻訳されているので,翻訳時期はそれぞれにおいて同じ頃であり,後者のグループが早いことが推定できる.*Jalabalivimalagranthaは,マンユルで著されたことが記されており,著者がチベットに入った後の著書となる.ただし,Balividhiには著作状況を示す情報はない.</p>

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参考文献 (1)*注記

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