ラボへの検体搬入現状調査と検査前時間の結果へ与える影響―血糖・hANP・生化学項目―

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  • Transportation time of inpatient specimens to the laboratory and its effects on test results

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抄録

<p>患者から採血した血液検体は,速やかに検査室へ搬入し,適切な前処理の後検査を実施すべきである。しかし病棟採血検体は全血で長時間保存され検査部へ提出されることがある。我々は検査室で受付されてから報告までのturn around time(TAT)より,採血から結果報告までのTATが精度保証に重要であると考え,病棟検体の採血から検査室への到着までの時間を調査した。その結果,平均時間は91 ± 51分であり,想定よりも長時間であった。そこで,全血検体の保存時間による測定値への影響について室温24℃と冷蔵4℃にて検討を行った。対象は血糖測定値・hANP測定値・生化学測定値とした。血糖測定の検体は,室温で採血2時間後には5.6~15.4%低下し,その後も徐々に低下した。hANP測定の検体は,6時間後に冷蔵で8.4~24.4%,室温で18.9~41.3%低下した。生化学項目で大きな変化を確認したのは,K,LD,IPであり,Kは冷蔵で6時間後に26.8~28.2%上昇した。LDは,室温・冷蔵共に上昇傾向を認め,最大19.9%の上昇を確認した。IPは,室温6時間後に9.1~16.7%低下した。今回の検討により,病棟採血は検体が検査室に到着するまで長時間,時間を要することがあり,検査値へ影響することが懸念された。検査の精度保証のためには検体採取からの時間管理が必要と考えられる。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 68 (1), 144-149, 2019-01-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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