Issues of science communication in biodiversity conservation projects

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  • 生物多様性の保全をめぐる科学技術コミュニケーションのあり方
  • セイブツ タヨウセイ ノ ホゼン オ メグル カガク ギジュツ コミュニケーション ノ アリカタ

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生物多様性の保全をめぐる科学技術コミュニケーションでは、非専門家の科学的知識の欠如が問題の原因と考える「欠如モデル」を脱したコミュニケーションのあり方が求められている。そのためには、どんな社会的文脈のもとに何を現場の問題とするのかという問題設定のフレーミングを自ら相対化するようなコミュニケーションプロセスを設計することが必要である。アザメの瀬の自然再生事業では、まずは地域住民の土地の記憶を「聴く」行為をきっかけとし、それを共有することで、ステイクホルダー同士のフレーミングの違いを前提として問題設定のフレーミングの相対化に成功し、何が重要なのかを再考することで同意を得ることができた。このことは、脱・欠如モデルの科学技術コミュニケーションの例として位置づけることができる。また、「聴く」プロセスと同様のことが、環境社会学や民俗学等で行われている生活や生業に関する聞き取り調査とその成果の活用においても行われていることは、脱・欠如モデルの科学技術コミュニケーションの手法を検討する上で重要なヒントを与える。特に「聴く」という行為による「学び」を、それを多様な主体が参加する市民参加型の調査として設計することは有力な方法となり得る。生物多様性の保全においても、このような問題設定のフレーミングの相対化をともなう「聴く」行為を軸とした新しい科学技術コミュニケーションが必要になるだろう。

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