交通事故後の高次脳機能障害

  • 渡邉 修
    東京慈恵会医科大学附属第三病院リハビリテーション科

書誌事項

タイトル別名
  • Cognitive and behavioral Sequelae in traffic victims.
  • コウツウ ジコ ゴ ノ コウジ ノウ キノウ ショウガイ

この論文をさがす

抄録

交通事故後、脳外傷に起因する高次脳機能障害を発症することがある。その発症には、受傷時の意識障害の程度が強く関連し、Glasgow Coma Scaleにて8点以下の重症例では高次脳機能障害は必発する。受傷機転から前頭葉および側頭葉が損傷を受けやすいことから、高次脳機能障害の中でも、特に注意障害、遂行機能障害、記憶障害および社会的行動症障害がみられやすい。社会的行動障害としては、自発性の低下、うつ、易怒性等がみられ、社会復帰を阻害する大きな要因であり、その家族の精神的負担感も大きい。交通事故は、生産年齢である若年層に多いことから、その後遺症と対応策についての社会的関心は高い。重症例であっても、脳外傷は時間をかけながら緩やかに回復していく。したがって、医療機関は、患者および家族に対し、メンタル支援を視野にいれ、地域の社会資源と連携し、継続的な包括的リハビリテーションの体制を構築していく必要がある。

収録刊行物

関連プロジェクト

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ