成人先天性心疾患患者の就業状況とその背景要因

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  • Employment Status and Contributing Factors for Adults with Congenital Heart Disease

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抄録

<p>背景:現在移行期支援が注目され,その課題のひとつに就業が挙げられる.就業は男女で状況が異なるが,日本において男女別に患者の就業状況を明らかにした研究はほとんどない.そこで本研究では成人先天性心疾患患者の就業状況とその状況に影響を及ぼす要因を男女別に検討する.</p><p>方法:先天性心疾患患者193名(平均年齢:男33.62歳・女32.69歳,男性89名:学生は除く)に,就業状況,社会的属性(婚姻状態,教育歴),疾患状況(疾患名,疾患重症度,手術回数など),就業支障評価,生活の質(QOL: Linear Analog Scale for quality of life),生活満足度(SWLS: Satisfaction with Life Scale)を問う質問紙調査を実施した.</p><p>結果:国勢調査による同世代の成人と比較して,男女とも未就業(男13名:14.6%,女13名:12.5%)が有意に多く(p<0.01),さらに男性は常勤就業者が有意に少なかった(p<0.01).また未就業患者で「(疾患のため)仕事ができない」と回答したのは男女1名ずつで,多くの患者は就業可能と考えていた.未就業患者はQOL, SWLSともに有意に低く,未就業の背景要因としては,男性は年齢が若いこと,女性は疾患が重いことであった(それぞれp<0.05).</p><p>結論:患者は就業可能と考えているにもかかわらず未就業者が多く,疾患を起因として就業に不利益を被っていることが考えられる.さらにその状況にある患者は生活の質,満足感が低く,就業に課題を抱えている状態であることが明らかとなった.</p>

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