胃瘻チューブ内腔の細菌汚染状況

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  • Bacterial Contamination in the Lumen of Percutaneous Endoscopic Gastrostomy Tubes

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抄録

<p>背景:緑茶ポリフェノールは細菌増殖の抑制効果があるとされているが,栄養剤注入後に胃瘻チューブを緑茶で洗浄することによる細菌汚染予防効果については明らかにされていない.そのため,胃瘻より栄養剤を注入後,従来通り微温湯で洗浄する対照群と,白湯と緑茶で洗浄する群とに分け,細菌汚染状況を検討する研究を開始した.しかし,胃瘻造設術後7日目において,ESBLを有する多剤耐性菌で第5類感染症に指定されているアシネトバクターバウマニが検出され,院内感染と考えられ研究を中止することとなった.そこで,本稿では,胃瘻造設術後7日目の胃瘻チューブ内の感染汚染状況について報告する.</p><p>方法:対象者は65歳以上の胃瘻造設術を目的に入院する患者とし,介入群および対照群を無作為に割り付けた.介入群には,栄養剤注入後に微温湯で洗浄し,胃瘻チューブ内にポリフェノールの一種であるカテキンを高濃度に含む市販の緑茶飲料を注入した.対照群は微温湯での洗浄のみとした.術後7日目に,胃瘻留置チューブを垂直に立てコネクト部分から滅菌スワブを5cm挿入しチューブ内壁をこすり,細菌培養にて菌種およびコロニー数を検出した.</p><p>結果:介入対照両群から,肺炎球菌,緑膿菌,エンテロバクター類が,対照群では多剤耐性アシネトバクターが検出された.</p><p>結論:胃瘻チューブ内腔は新規造設後7日目に多様な細菌に汚染されていることが明らかになった.感染予防対策の徹底と,定期的な胃瘻チューブ内腔の培養による評価が必要である.なお,緑茶ポリフェノールの効果については明らかにならなかった.</p>

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