東日本大震災の避難所における室内浮遊粉じん濃度とハウスダスト中重金属類濃度

書誌事項

タイトル別名
  • PM<sub>2.5</sub>, PM<sub>10</sub>, TSP and heavy metals in house dust collected from evacuation centers in Miyagi Prefecture at the time of the Great East Japan Earthquake
  • ヒガシニホン ダイシンサイ ノ ヒナンジョ ニ オケル シツナイ フユウ フンジン ノウド ト ハウスダスト チュウ ジュウキンゾクルイ ノウド

この論文をさがす

抄録

東日本大震災は, 2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による災害であり, 海岸線に押し寄せた津波によって甚大な被害をもたらした。津波被災地域の避難所等の居住区では, 津波堆積物等由来の飛散粉じんによる呼吸器疾患等の健康被害が懸念された。本調査では, 宮城県と連携して, 同年5月~9月にかけて, 津波被災地域の避難所5カ所と高等学校1カ所の室内浮遊粉じん(PM2.5, PM10及びTSP)の測定とハウスダストの性状評価及び元素分析を実施した。PM2.5の濃度は, 調査期間の平均値が18~31 μg/m3であり, 1日平均値の環境基準35 μg/m3以下であった。また, PM2.5, PM10及びTSPの濃度は, 調査期間を通じて概して低い値であり, 大半の測定場所で時間経過に伴って減少傾向であった。一方で, 人の活動が活発になる午前8~9時から午後4~5時においては, 35 μg/m3を超過することがあり, 高感受性者の体調の変化に注意を向ける必要があると考えられた。室内浮遊粉じんの測定結果は, 津波に浸水した建屋(或いはその近傍)かどうか, 土足で出入りしているかどうか, 定期清掃を行っているかどうかが, その濃度に影響を与える重要な因子であることを示唆した。ハウスダストのふるい処理による性状評価は, 避難所のハウスダストの観察によって室内浮遊粉じんの発生状況を推察できる可能性を示した。また, ハウスダストの元素分析の結果は, 避難所内に設置されている物品由来の化学物質に留意が必要であることを示した。

収録刊行物

  • 室内環境

    室内環境 22 (1), 35-43, 2019

    一般社団法人 室内環境学会

参考文献 (1)*注記

もっと見る

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ