脳梗塞急性期におけるFMCとD-dimerおよびBNP測定値による臨床病型診断の試み

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  • FMC, D-dimer and BNP in patients with acute ischemic stroke

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抄録

<p>脳梗塞は臨床病型により治療法が異なるため,発症早期に臨床病型診断を行うことが重要である。今回我々は,脳梗塞急性期におけるフィブリンモノマー複合体(fibrin monomer complex; FMC),D-dimer,脳性ナトリウム利尿ペプチド(brain natriuretic peptide; BNP)測定値が脳梗塞の臨床病型診断に有用かを検討した。対象は,2015年7月から2016年6月に当院に入院した脳梗塞急性期患者190例で,臨床病型内訳は,アテローム血栓性脳梗塞(atherothrombotic; AT)81例,心原性脳塞栓症(cardioembolic; CE)41例,ラクナ梗塞(lacunar infarct; LI)46例,その他の梗塞22例であった。入院時にFMC,D-dimer,BNPを測定し各病型の測定値の分布を比較検討した。またcut off値を定め各病型の陽性率を検討した。その結果,FMC,D-dimer測定値の分布においてはAT・CE・LIの病型間に有意差は認められなかったが,ROC曲線から得られた最適cut off値による陽性率の病型間比較では,FMCにおいてCEはATやLI(非CE)に比べ有意に高い陽性率を示した。D-dimerにおいては,CEはATに比べ有意に高い陽性率を示したが,LIでは有意差は認められなかった。BNPにおいては,測定値および陽性率ともにCEは非CEより有意に高値を示した。以上より,脳梗塞急性期におけるFMC,D-dimer,BNP測定は,脳梗塞急性期の臨床病型診断に有用であり,特に,BNPはCEと非CEの鑑別診断に有用であった。</p>

収録刊行物

  • 医学検査

    医学検査 68 (2), 269-275, 2019-04-25

    一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会

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