スギ内装材を施工した実験室での揮発性有機化合物濃度の経時変化

書誌事項

タイトル別名
  • Temporal changes in volatile compounds in the indoor air of a laboratory finished with Sugi (<i>Cryptomeria japonica</i>) interior materials
  • スギ ナイソウザイ オ セコウ シタ ジッケンシツ デ ノ キハツセイ ユウキ カゴウブツ ノウド ノ ケイ ジヘンカ

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抄録

木材及び木質建材から放散する揮発性の高い化合物はテルペン類であり、木質環境の快適性との関係性も示唆されている。また、テルペン類は、総揮発性有機化合物の室内濃度に影響を与えることが推察されている。これまでの研究報告では、内装木質化直後から長期間にわたって、テルペン類の推移を追跡した研究は見当たらない。そこで、本研究では実験室の床と壁に内装材を施工して、施工翌日から約二年間にわたり室内の揮発性化合物を分析した。定量対象物質は、炭化水素類、アルコール類、カルボニル化合物等の計51種として、併せて、ヘキサンからヘキサデカンまでの未知成分の半定量値を算出した。さらに、換気回数及び温度と相対湿度を測定した。室内空気中の化合物分析の結果、内装木質化により実験室内のテルペン類濃度が大幅に増加し、全実験期間を通してテルペン類の放散量が最も多かった。テルペン類の気中濃度は、施工直後と夏期の気温が高い時期には高い値を示すが、施工から約2年経過後には、施工翌日に比べて0.15 % の濃度にまで減衰した。ホルムアルデヒド等の室内濃度指針値が定められている8物質については、実験期間中はいずれも指針値以下であった。本実験室の換気回数は1.1回/h であり、実験室内は、年間を通して温度は6 ~ 32 ℃、相対湿度は47 ~ 63 % の範囲内であった。

収録刊行物

  • 森林総合研究所研究報告

    森林総合研究所研究報告 18 (1), 15-25, 2019

    国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所

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