開心術後の手術部位感染発生に関するリスク因子の検討

  • 新改 法子
    神戸市立医療センター中央市民病院 看護部感染管理室 名古屋市立大学大学院看護学研究科
  • 森本 剛
    神戸市立医療センター中央市民病院 臨床研究推進センター学術・研究支援部門;兵庫医科大学臨床疫学
  • 矢野 久子
    名古屋市立大学大学院看護学研究科
  • 小山 忠明
    神戸市立医療センター中央市民病院 心臓血管外科

書誌事項

タイトル別名
  • Risk Factors for SSI after Open Heart Surgery

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抄録

<p>[目的]開心術後に発生するSSIの予防を目的に,SSIバンドルを含めたリスク因子を検討した.[方法]研究デザインは後ろ向きコホート研究である.神戸市立医療センター中央市民病院で2008年1月~2010年12月(I期:感染対策実施時期)および新病院移転後の2014年1月~2016年12月(II期:感染対策強化時期)に開心術を施行した1,579例を対象にした.SSIのリスク因子は,単変量解析およびロジスティック回帰分析を用いて分析した.SSIの判定は米国疾病管理予防センターの医療関連感染調査に使用するSSI定義を用いた.[結果]SSI発生率は4.5%であり,I期とII期では,SSI発生率が6.6%から2.9%に有意に減少し(p<0.001),適切な予防抗菌薬の選択,術後72時間以内に予防抗菌薬の中止,術後1日目および2日目朝の血糖管理における対策の実施率が有意に増加していた(p<0.001).単変量解析の結果,手術手技,手術時期,手術時間,術後2日目朝血糖値,切開の1時間前以内に予防抗菌薬の投与開始,バンドル100%達成率において統計学的有意差を認めた.ロジスティック回帰分析の結果,複合手術(オッズ比2.5;95%信頼区間1.3~4.8)はSSIの発生する危険性が高くなり,切開の1時間前以内に予防抗菌薬の投与開始(オッズ比0.57;95%信頼区間0.33~0.97)と手術時期(II期,オッズ比0.41;95%信頼区間0.23~0.71)はSSIの発生する危険性が低くなった.[結語]SSI予防としては,特に予防抗菌薬は切開の1時間前以内に投与を開始することが重要であり,SSIバンドルの実施率を向上させること,複合手術を受ける患者はSSIの発生に注意を要することが肝要である.</p>

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