P-1-E03 一般病院における重症心身障害児者のレスパイト事業取り組み

DOI
  • 山本 寿子
    川崎市立多摩病院 小児科 聖マリアンナ医科大学病院 小児科
  • 宮本 雄策
    川崎市立多摩病院 小児科 聖マリアンナ医科大学病院 小児科
  • 山本 仁
    聖マリアンナ医科大学病院 小児科

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抄録

目的 重症心身障害児者の在宅医療移行が近年進められており、介護を行う家族にとってレスパイト事業は必要不可欠な支援である。しかし、地域による差異はあるものの、重症心身障害児者の受け入れが可能である施設は十分ではないことが推察される。当院が位置する川崎市北部地域においても、レスパイト事業を行っている施設は少ない。当院は一般小児科診療を主とする医療施設であるが、急性期病棟の1床を利用して、重症心身障害児者のレスパイトを目的とした短期入所を行っている。当院における短期入所利用者の傾向と問題点を調査した。 対象と方法 2013年1月から2017年6月まで当院小児科に短期入所目的で入院歴のある症例を対象とした。病名、性別、利用時の年齢、利用期間利用中に生じた感染症罹患について診療録から後方視的に検討を行った。 結果 利用者数は19名(全例で大島分類1の超重症児者)、男児11名、女児8名。平均年齢は14.6±6.1歳。病名は脳性麻痺10名、てんかん性脳症が2名、Rett症候群が1名、その他が2名、原因不明が4名であった。利用回数は延べ76回、平均日数は8.1±4.0日、最長22日間(母の化学療法目的)、最短3日間の利用であった。利用中に合併症により入院期間の延長がみられたのは5回(6.5%)で最長19日間、原因は尿路感染症2回、誤嚥性肺炎2回、胃腸炎1回、長期化した日数は平均7.0日であった。 考察 急性期病棟である当院において、レスパイト事業を行う際には他児からの急性感染症罹患とそれに伴う入院長期化が懸念される。しかし、今回の調査においては、平均で7日間の予定日数延長であり、大幅な長期化を認めなかった。また、少子化や予防接種体制の充実により、全国的に小児科患者の入院数は減少している。病棟の稼働率低下を補助する目的としても、急性期病院におけるレスパイト事業は有効であると考えた。

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