P-1-F10 核黄疸と両側基底核視床病変を起因とする重症心身障害者の摂食機能の検討

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抄録

目的 アテトーゼ型脳性麻痺の主病因である核黄疸、両側基底核視床病変は共に周生期に起こり、基底核に病変がみられる。しかし、両側基底核視床病変では脳幹を含めた広範囲な病変が併存している可能性があり、核黄疸に比べ摂食嚥下障害が重度になると予想される。そこで、両者の重症心身障害者において準備期・口腔期の摂食機能について比較検討した。 方法 A施設に入所中の利用者で、アテトーゼ型脳性麻痺と診断され、その原因が核黄疸または両側基底核視床病変と推定された利用者(以下、それぞれを「核黄疸群」、「両側基底核視床病変群」とする)を対象とした。摂食機能の評価については、B病院の摂食評価用紙に基づき摂食・嚥下障害看護認定看護師2名で「口唇閉鎖」「舌運動」「舌突出」「顎運動」「むせ」「口腔内での食物処理」「異常パターン」の7項目を観察評価し、Χ2検定、Mann-WhitneyのU検定によって統計学的に比較検討した。 結果 対象は核黄疸群5名、両側基底核視床病変群7名で、評価時平均年齢は55歳であった。核黄疸群と両側基底核視床病変群の間に評価項目いずれにおいても有意差を認めなかった。 考察 今回評価した7項目は準備期・口腔期における口唇・舌・顎運動を反映したものであり、脳器質病変のみならず、摂食訓練の経験、代償機能の獲得の有無も影響する可能性がある。また、加齢による身体的変化の影響もあるかもしれない。 2群間で差を認めなかったのはそのためと推察される。今後は、嚥下造影、内視鏡などによって咽頭期の評価を行うことが必要と考えられる。

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