知識と政策転換――第二次航空規制改革における「知識の政治」――

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  • Knowledge and Policy Reversal
  • チシキ ト セイサク テンカン ダイ2ジ コウクウ キセイ カイカク ニ オケル チシキ ノ セイジ

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抄録

<p>わが国の航空輸送産業では,幼稚産業保護の観点から運輸省航空局の厳しい規制によって事業者間の競争が徹底的に回避され,1980年代には規制改革が試みられたものの「管理された競争」にとどまった。しかし,90年代後半から急激に改革が行われ,改正航究法では欧米並みの「自由競争」への政策転換が図られた。なぜ,このような改革が達成されたのか。この問いに対して,知識とそのコンテクストの変化に注目する「知識の政治」という観点から説明することが本稿の目的である。</p><p>1990年代に入ると知識のコンテクストが大きく変化した。景気後退を背景として政府規制の間題が認識され,規制緩和が政策課題に位置づけられた。また,航空政策の認識コミュニティにおいても,規制緩和を志向する交通経済学者を中心に研究が急速に進められた。</p><p>このコンテクストの変化から,新しい政策知識が提示された。理論的知識として,新しく競合可能性理論とインセンティブ規制理論が紹介された。また,米国の動向が経験的知識として提示され,政府規制の根拠がないことが認識コミュニティで確認された。</p><p>そして,規制緩和への圧カが高まる中,航空局は漸進的な改革を行ったものの,機能せず,行政改革委員会規制緩和小委員会から徹底した自由化が求められた。運輸省は自由競争の重要性を認識し,1996年12月には需給調整規制が撤廃され,改正航空法では「参入・退出の自由」「価格設定の自由」が認められ,自由化が達成されたのであった。</p>

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