言語的命題化は自閉スペクトラム症児の誤信念理解を促進するか?:介入実験による検証

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タイトル別名
  • Do Verbal Proposition Cues Facilitate False-Belief Reasoning in Children with Autism Spectrum Disorder? An Intervention Study
  • ゲンゴテキ メイダイカ ワ ジヘイスペクトラムショウジ ノ ゴシンネン リカイ オ ソクシン スル カ? : カイニュウ ジッケン ニ ヨル ケンショウ

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抄録

<p>自閉スペクトラム症の児童における誤信念理解への言語的命題手がかりの促進効果について検討し,言語力の観点から考察した。参加児は6歳から12歳までの54名の児童であった。介入前のベースライン条件における誤信念課題には25名が通過し,その語彙年齢(VA)の平均は9歳9カ月であった。通過しなかった29名に対し別な誤信念課題を実施した。信念質問の前に「見ることは知ること」の原理を言語的命題として提示することを介入として行った。そして介入条件を通過した8名の児童に対し,般化を確認するためのさらに別な誤信念課題を実施した。また,すべての課題で答えの理由について質問した。般化確認条件を通過した児童は4名であり,うち2名は答えの理由として知覚と知識の関係に言及していた。彼らのVAは10歳11カ月と10歳4カ月であり,他の2名は8歳10カ月と8歳7カ月であった。これらの結果は,言語的命題化はVAが9歳頃のASD児の誤信念理解を促進することを示唆する。そしてVAが10歳を超えると,言語的命題化によって誤信念の理解と般化が可能になると考えられた。</p>

収録刊行物

  • 発達心理学研究

    発達心理学研究 28 (2), 106-114, 2017

    一般社団法人 日本発達心理学会

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