発がん条件下におけるアクリルアミドの突然変異誘発性の検索

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タイトル別名
  • In vivo mutagenicity of acrylamide at the carcinogenic dose

抄録

<p>【背景・目的】我々はこれまでにレポーター遺伝子導入動物であるgpt deltaマウスに400 ppm(発がん用量の約8倍)のアクリルアミド(AA)を4週間投与すると、発がん標的臓器である肺において特異的DNA付加体N7-GA-Guaの形成に加え、G:C-T:A transversionおよび一塩基欠失を特徴とした突然変異頻度(MFs)が上昇することを明らかにしている。しかし、発がん用量近傍においてはMFsの変化が認められなかったことから、AAの発がん過程における突然変異の関与は不明のままである。そこで本研究では、AAの発がん条件下における変異原性の有無を投与期間を延長して検討した。【方法】雄性6週齢のF344系gpt deltaマウスに発がん用量である50 ppmのAAを4、8及び16週間飲水投与し、発がん標的臓器である肺と非発がん標的臓器である肝臓を採取した。凍結保存した肺及び肝臓の一部を用いてLC-MS/MSによるN7-GA-Guaの測定と、gpt assayおよびSpi- assay による変異原性の検索を行った。【結果】gpt assayの結果、肺では投与後16週目においてMFsが有意に上昇し、G:C-T:A transversion及び一塩基欠失の頻度が有意に増加した。一方、肝臓ではMFsの変化はみられなかった。Spi- assayの結果、肺および肝臓ともにMFsの変化は認められなかった。【考察】発がん標的臓器である肺では、投与後16週目においてgpt MFsが上昇し、その変異スペクトラムは高用量のAA投与時と一致した。また、MFsの上昇が発がん標的臓器のみで認められたことから、AAの肺発がん過程にこれらの突然変異が寄与することが強く示唆された。今後、各臓器におけるN7-GA-Gua量を測定し、付加体の蓄積量と変異誘発との関連についても報告する。</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238105787392
  • NII論文ID
    130007677303
  • DOI
    10.14869/toxpt.46.1.0_p-135
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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