視床下部<i>Ptf1a</i>は脳の性分化に必要である

DOI
  • 藤山 知之
    筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS) 国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 病態生化学研究部
  • 船戸 弘正
    筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS) 東邦大学医学部解剖学講座微細形態学分野
  • 恒岡 洋右
    東邦大学医学部解剖学講座微細形態学分野
  • 金丸 和正
    筑波大学免疫学研究室
  • 柿﨑 美代
    筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)
  • 管野 里美
    筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)
  • 石川 由紀子
    筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)
  • 宮下 聡
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 病態生化学研究部
  • 山下 真理子
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 病態生化学研究部
  • 大輪 智雄
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 病態生化学研究部
  • 長岡 麻衣
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 病態生化学研究部
  • 川口 義弥
    京都大学CiRA
  • 柳川 右千夫
    群馬大学院医学研究科遺伝発達行動学分野
  • マグヌソン マーク
    ヴァンダービルト大学医学研究科
  • 村谷 匡史
    筑波大学ゲノム生物学教室
  • 渋谷 彰
    筑波大学免疫学研究室
  • 鍋島 陽一
    公益財団法人神戸医療産業都市推進機構
  • 柳沢 正史
    筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS) テキサス大学サウスウェスタン医学センター
  • 星野 幹雄
    国立研究開発法人 国立精神・神経医療研究センター 神経研究所 病態生化学研究部

書誌事項

タイトル別名
  • Forebrain <i>Ptf1a</i> is required for sexual differentiation of the brain

抄録

<p>男性と女性では脳の構造や機能に生まれつき差異があり、その差異を出発点とし、成長を通じてものの考え方や立ち居振る舞い、嗜好などに違いが現れる。ヒトを含む哺乳類の脳は「臨界期」と呼ばれる時期にテストステロン刺激を受けると男性化し、その刺激を受けないと女性化することが知られている。しかし「臨界期」以前の脳の性分化機構についてはよくわかっていなかった。われわれは、膵臓や小脳の発達に関わるPtf1a遺伝子が「臨界期」より遥かに前の胎児期において視床下部と呼ばれる脳領域の神経前駆細胞で発現することを見出した。その領域でPtf1a遺伝子を破壊したノックアウトマウスを作製したところ、その脳は「臨界期」にテストステロン刺激を受けても男性化できず、その一方でテストステロン刺激を受けない場合でも女性化できないことが観察された。このことから、(1)脳の性分化(男性化または女性化)のためには、「臨界期」以前に「性分化準備状態」になる必要があること、そして(2)胎児期の視床下部Ptf1aが脳を「性分化準備状態」へと導き、その後の「臨界期」でのテストステロン刺激・非刺激によって男性脳・女性脳へと性分化させるということが明らかになった。これまでにも脳の性分化に関わる遺伝子はいくつか報告されているが、Ptf1aはそれらの中で最も早く働く最上流遺伝子であり、脳の性分化の最初期段階を明らかにしたとも考えられる。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564238106329856
  • NII論文ID
    130007677445
  • DOI
    10.14869/toxpt.46.1.0_p-87e
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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