薬物性肝障害に引き続き発症したと思われる再生不良性貧血

書誌事項

タイトル別名
  • Aplastic anemia following drug-induced liver injury
  • 症例報告 薬物性肝障害に引き続き発症したと思われる再生不良性貧血
  • ショウレイ ホウコク ヤクブツセイ カン ショウガイ ニ ヒキツズキ ハッショウ シタ ト オモワレル サイセイ フリョウセイ ヒンケツ

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抄録

<p>再生不良性貧血(再不貧)は免疫学的機序による造血幹細胞の障害により骨髄低形成をきたす造血器疾患である。肝炎関連再不貧は未知のウイルス感染が原因とされているが,原因の究明には至っていない。我々は薬物性が強く疑われる肝障害後に再不貧を発症した18歳の男性例を経験した。市販薬の内服後に高度の肝機能障害を生じ,内服した市販薬に対するリンパ球刺激試験が陽性であることや,肝生検結果などから薬物性肝障害と臨床診断した。ステロイド,肝庇護薬による治療で肝機能は改善したが,肝障害発症後3ヶ月頃から汎血球減少が出現し,再不貧重症型の診断に至った。診断時,高感度発作性夜間血色素尿症型血球検査は陽性であった。抗胸腺細胞グロブリン,シクロスポリンを用いた免疫抑制療法を施行し,血球の回復を認めた。検索した限り薬物性肝障害後に再不貧を生じた例は報告がなく,薬剤性や肝炎関連再不貧の原因究明の観点からも貴重と考えられた。</p>

収録刊行物

  • 臨床血液

    臨床血液 60 (7), 779-784, 2019

    一般社団法人 日本血液学会

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