超音波検査が診断に有用であった唾液腺腺様囊胞癌の1切除例—超音波画像と病理組織像の対比を中心に—

DOI
  • 長山 亜由美
    久留米大学病院臨床検査部 久留米大学病院超音波診断センター
  • 隈部 力
    隈部医院 久留米大学医学部放射線医学講座
  • 黒松 亮子
    久留米大学病院超音波診断センター 久留米大学医学部内科学講座消化器内科部門
  • 川野 祐幸
    久留米大学病院臨床検査部 久留米大学病院超音波診断センター
  • 橋本 好司
    久留米大学病院臨床検査部
  • 小野 剛治
    久留米大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
  • 草野 弘宣
    久留米大学医学部病理学講座
  • 梅野 博仁
    久留米大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科学講座
  • 安陪 等思
    久留米大学医学部放射線医学講座
  • 中島 収
    久留米大学病院臨床検査部

書誌事項

タイトル別名
  • A Resected Case of the Salivary Gland Adenoid Cystic Carcinoma Diagnosed by Ultrasonography—Comparison of Ultrasonographic Findings and Histopathology—

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抄録

<p>症例は60代男性.左頸部腫瘤を自覚し,左頬部から頸部に疼痛を認めたため近医を受診.精査加療目的で当院へ紹介となる.身体所見では左顎下部に母指頭大の弾性硬で可動性良好な腫瘤を認めた.超音波検査(Ultrasonography: US)で左顎下腺内に約20×15×10 mmの低エコー腫瘤を認めた.腫瘤の形状は不整形で周囲顎下腺との境界は一部不明瞭であった.内部エコーは不均一な低エコーで,多数の点状および線状高エコーを認めた.後方エコーの増強を認め,一部は顕著に増強していた.パワードプラ法では腫瘤内の血流シグナルを認め,高感度ドプラ法で拍動性の血流信号を認めた.CTでは腫瘤は単純像で背景腺組織と等吸収域,造影像で背景腺組織に比して弱い増強効果を示した.MRIではT1強調像は軽度低信号で,脂肪抑制T2強調像は不均一な高信号を呈した.造影ダイナミック像では早期より漸増性に造影され造影効果は遷延した.腫瘤の顎下腺外への明らかな浸潤は認めなかった.これらの画像所見より腺様囊胞癌(Adenoid cystic carcinoma: ACC)を含む悪性腫瘍を疑い,確定診断を目的に経皮的吸引細胞診が施行されACCの診断を得て切除となった.US像と病理組織像の対比を行いUS所見の有用性を検討した.腫瘤の境界,形状および高エコースポットの有無はACCに特異的な所見ではないが良悪性鑑別の一助となり,さらに内部エコーや後方エコーの増強,腫瘤内血流を含め総合的に評価することで,ACCを含めた悪性腫瘍を鑑別診断にあげることが可能となる.</p>

収録刊行物

  • 超音波検査技術

    超音波検査技術 44 (4), 464-469, 2019-08-01

    一般社団法人 日本超音波検査学会

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