アタッチメントと子どもの虐待

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タイトル別名
  • ATTACHMENT AND CHILD ABUSE
  • アタッチメント ト コドモ ノ ギャクタイ

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抄録

<p>一般に乳幼児は,危機的状況でアタッチメント対象に接近し安心感を得ようとする。しかし,家庭内虐待の場合,本来はアタッチメントの対象となるべき主たる養育者から虐待される,あるいは,主たる養育者が無力で子どもを守れないなどのため,子どもは,虐待行為によるトラウマ(心的外傷)を受けるとともに,守られるべきアタッチメント対象をも失うという二重苦を体験することになる。被虐待体験によって,アタッチメント形成が障害された子どもには,感情を適切に表出し制御する能力がうまく育たず,暴力的な問題行動やひきこもりが増える傾向が認められている。そして,将来にわたる対人関係全般に問題が生じることが少なくない。一方,被虐待体験による安全感や信頼感の喪失が,その後のアタッチメントの修復を阻害する要因となる場合も多い。最近の報告では,養育者の感受性を高める介入がアタッチメントの修復に最も有効であり,期間限定で焦点化した,目的が明確な介入が有効であったとされている。トラウマの観点からみると,虐待を受けた乳幼児のPTSD 診断は容易ではないが,侵入症状や再演,それらの引き金となる想起刺激,不安や恐怖の般化,非機能的な認知などの表出のされ方をよく知り,アタッチメントとトラウマの両面から子どもをケアすることが重要である。</p>

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