当院における椎体骨折患者に対する新規・再骨折、術後トラブル予防の取り組み

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抄録

<p>【序論】</p><p> 骨粗鬆症ガイドラインでは骨粗鬆症患者による椎体骨折の発生件数は最も多いと報告されている。また、既存椎体骨折がある骨密度低下例の新規椎体骨折リスクは、既存椎体骨折のない例と比較して役1.6倍高いと報告されている。当院でも多くの椎体骨折患者を加療している。外科的治療が必要な椎体骨折患者にはDXA検査等を行い、術式を検討している。リハビリは術前より介入し、術後のADL指導を実施することで術後トラブル、新規・再椎体骨折等の予防を行っている。今回我々は2015年1月から2017年12月までに脊椎後側方固定術、椎体形成術を施行した231例の術後トラブル件数を後方的に調査した。</p><p>【方法】</p><p> 電子カルテより術後トラブルの有無を調査した。今回の調査での術後トラブルは、スクリュートラブル、入院加療中新規・再椎体骨折とした。</p><p> 行った指導は、術前より禁忌動作を含むADL指導パンフレットを配布し、リハビリスタッフが実施した。禁忌動作内容は、体幹の運動制限、腰椎後弯姿勢等の負荷をかけない運動方法、コルセットの着脱指導等である。また、個人の生活スタイル、自宅や職場での環境に応じて指導内容は変更している。</p><p> リハビリスタッフが行っている指導内容は、看護師にも理解をしてもらっている。看護師が理解することで、入院中の入浴等のADLフォローに繋がっている。</p><p>【結果】</p><p> スクリュートラブルは5件、新規・再椎体骨折は0件であった。</p><p> 術後トラブルや新規・再骨折等になると更なるADL低下が懸念される。当院ではそれらの予防の為に指導をしている。パンフレットを使用することで患者だけでなく、看護師等の他職種も理解しやすくなる。その結果、負担が軽減し術後トラブル件数の減少を促せていると考えられる。また、硬性コルセットの装着指導や固定部を側方に変更することで胸・腰椎の負担軽減を促していると考えられる。</p><p> 栗森らによると脊椎多発骨折は呼吸機能の低下や胃・食道逆流現象を引き起こし悪循環となり、生活の質の低下だけでなく死亡リスクも高くなると報告している。また、骨粗鬆症患者の椎体骨折は、海綿骨での支持性が弱く後壁損傷のリスクが高くなると報告している。後壁損傷を伴う骨折は、下肢麻痺等の重度な障害を呈する可能性があり危険である。下肢麻痺を呈することで著明なADL低下がみられ、死亡リスクの向上が懸念される。このことから、骨粗鬆症が重度になるにつれ新規・再骨折の予防が重要になってくると考えられる。当院は腰椎後弯姿勢での運動を避けるように指導をしている為、後壁への負荷を軽減することが出来、新規・再骨折を予防出来ていると考えられる。</p><p>【結論】</p><p> 今回は退院後の調査が出来ていない為、退院後も非外傷性の椎体骨折を防げているかを証明することが出来ていない。退院後の骨折予防の調査や取り組みが今後の課題になってくる。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p> 当調査はヘルシンキ宣言に従い,個人を特定するような情報は提示しないように最大限の配慮をして行っている。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), C-61_2-C-61_2, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001288158510848
  • NII論文ID
    130007692747
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.c-61_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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