頭頚部外傷後のめまいにより競技復帰困難であったプロサッカー選手に対して理学療法が著効した症例  [in Japanese]

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Author(s)

    • 飛田 広大
    • 筑波大学附属水戸地域医療教育センター茨城県厚生連総合病院水戸協同病院 リハビリテーション部
    • 芋生 祥之
    • 筑波大学附属水戸地域医療教育センター茨城県厚生連総合病院水戸協同病院 リハビリテーション部
    • 武井 隼児
    • 筑波大学附属水戸地域医療教育センター茨城県厚生連総合病院水戸協同病院 リハビリテーション部
    • 谷口 徹
    • 筑波大学附属水戸地域医療教育センター茨城県厚生連総合病院水戸協同病院 リハビリテーション部
    • 小野瀬 慎二
    • 筑波大学附属水戸地域医療教育センター茨城県厚生連総合病院水戸協同病院 リハビリテーション部
    • 吉田 昂平
    • 筑波大学附属水戸地域医療教育センター茨城県厚生連総合病院水戸協同病院 リハビリテーション部
    • 吉田 和歌子
    • 筑波大学附属水戸地域医療教育センター茨城県厚生連総合病院水戸協同病院 リハビリテーション部
    • 小林 裕幸
    • 筑波大学附属水戸地域医療教育センター茨城県厚生連総合病院水戸協同病院 総合診療科

Abstract

<p>【症例紹介】</p><p>本邦では頭頚部外傷後の良性発作性頭位めまい症(Benign Paroxysmal Positional Vertigo:以下BPPV)の理学療法は少数ながら報告されている一方で、アスリートに対しての報告は渉猟した限り見当たらない。今回、頭頚部外傷後のめまいの改善に難渋した症例に対して徒手療法と運動療法を施行した結果、めまいが消失しバランス能力の向上を認め試合復帰することができた症例を報告する。症例は20歳代、男性プロサッカー選手。現病歴:練習中、ヘディング動作後に浮動性めまい出現し練習継続困難となり当院受診。頭部CTにて異常所見認めず、脳震盪と診断、安静加療と指示を受ける。浮動性めまい消失後チームでの段階的な練習参加を試みるも回転性めまいの症状により、ADL上の支障もあり発症後2週間で再受診。頭部MRIで異常所見なく、頸椎捻挫・BPPVと診断。同時に競技復帰に向けて理学療法依頼あり介入を開始した。既往歴:受傷3.5カ月前に脳震盪の診断あり。</p><p>【評価とリーズニング】</p><p>介入時に浮動性めまいはなく、背臥位や起居動作時に回転性めまいが出現していた。めまいは注視時には認められず、眼球運動では右側方運動、右上方運動、注視しての頭頚部運動時(左回旋)に認められた。いずれも数秒持続した後消失した。眼振は頭頚部伸展・右回旋運動時に、上眼瞼向き回旋で出現した。めまいの鑑別として椎骨動脈のSecurity testを実施し両側ともに陰性。半規管性のめまいに関するTestを実施したところ、Dix Hallpike陽性/陰性、Roll test陰性/陰性、Yacovino陰性/陰性、頭振後眼振検査陰性、Head impulse test陰性、Stepping test陽性(右回旋)という結果であったため、右後半規管型BPPV様の症状に近似していると推察し身体機能評価を進めた。運動所見は、著明な筋力低下なし。頸部可動域制限なく、伸展最終域で頸部背面につまり感あり。協調性検査の指鼻指試験・回内外試験・向う脛叩打試験・踵膝叩き試験は全て陰性であった。知覚検査では表在性・深部にて明らか感覚障害なし。平衡機能検査は開眼では立位保持可能、閉眼では立位保持困難であった。以上のことから、本症例の問題点は後半規管型BPPVに近似しためまいとバランス能力低下と推察し、頭頚部右回旋方向への運動刺激に対しての姿勢制御反応が弱化しており、体性感覚・視覚・眼球運動・前庭覚を統合するような理学療法が必要と考えた。</p><p>【介入内容および結果】</p><p>初回介入時に医師に確認したうえで、後半規管型BPPV様の症状に対し、徒手療法を実施。徒手療法は後半規管型BPPVに有効とされる耳石置換法のEpley法を選択し、眼振・めまいともに消失した。その後、前庭動眼反射を用いた眼球運動、頭頚部運動、眼球・頭頚部運動と全身運動の統合、段階的なリハビリテーションによる機能向上を目指し介入した。リハビリ介入2回目には閉眼での立位保持可能となった。その後めまい症状の再発やバランス能力の悪化なく脳震盪ガイドラインの段階的競技復帰プロトコルに基づき、有酸素運動、サーキットトレーニング、対人練習、ヘディングを除いたコンタクトプレー、ヘディング、試合形式とチーム練習に参加。症状出現後5週、理学療法介入後3週で試合復帰となった。</p><p>【結論】</p><p>今回、頭部外傷後にめまい症状の改善に難渋し、脳震盪に加えてBPPVと診断されたプロサッカー選手に対して、徒手療法を含む運動療法を介入したところ、即時的にめまい症状が消失し段階的復帰プロトコルに基づいてのスポーツ復帰が円滑に可能となった。今回の治療経験から、コンタクトスポーツ選手のめまい症状は一般に脳震盪などの頭部外傷が想起されるが、一方で、系統的な鑑別およびガイドラインに沿った適切な段階的アプローチによって、理学療法介入により症状改善が期待できることが示唆された。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>本症例には口頭で今回の発表に対する同意を得た。</p>

Journal

  • Congress of the Japanese Physical Therapy Association

    Congress of the Japanese Physical Therapy Association 46S1(0), H2-108_1-H2-108_1, 2019

    JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION

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