腰痛に対して前腕から介入した1例

DOI
  • 仲間 栄二
    整形外科よざクリニック リハビリテーション科
  • 川端 哲弥
    整形外科よざクリニック リハビリテーション科
  • 玉那覇 智紀
    整形外科よざクリニック リハビリテーション科
  • 比嘉 淳史
    整形外科よざクリニック リハビリテーション科
  • 屋良 和人
    整形外科よざクリニック リハビリテーション科
  • 野原 千恵
    整形外科よざクリニック リハビリテーション科
  • 與座 格
    整形外科よざクリニック 整形外科

抄録

<p>【症例紹介】</p><p>腰痛は、さまざまな原因によって引き起こされ、症状も多岐にわたる。臨床において、全身を評価する中で上肢や肩甲骨などの可動性を向上させ、上部体幹の可動性や姿勢アライメントが修正されることで、腰痛や膝痛などの緩和につながる経験をしている。今回、長時間座位時に腰痛を訴える症例に対して、運動連鎖的視点から前腕への介入で良好な結果を得たので報告する。症例は20代前半、女性、職業は事務職。H29年11月より就職し、次第に仕事中の長時間座位にて右腰痛を感じ始めた。平成30年5月頃から次第に増強傾向あり。既往歴は特になく、腰痛も今回が初めてとのことであった。スクリーニングにより、レッドフラッグ項目に該当なく、6月18日に理学療法介入した。</p><p>【評価とリーズニング】</p><p> 問診より、5月頃よりパソコン業務中に腰痛を感じ、その他での生活上の痛みはないとのこと。再現痛として、体幹右側屈、右回旋側屈動作時の右腰部痛を訴えた。長時間座位時NRS5。右腰方形筋、腰最長筋にスパズム、圧痛あり。本症例の主訴である座位姿勢では、軽度腰部右側屈・右骨盤軽度前傾傾向にて、右肩甲骨下制、下方回旋となっている。パソコン操作(以下PC操作)肢位である肘屈曲・前腕回内姿勢を確認すると、前腕は右の回内制限があった(左比較)。右遠位橈尺関節背側組織、上腕二頭筋、回外筋、三角筋中部繊維、右僧帽筋のスパズムと圧痛があり、近位橈尺関節のモビリティが低下していた。前腕回内の制限因子として、上腕二頭筋、回外筋などが主に挙げられ、本症例も同筋のスパズム、近位橈尺関節のモビリティが低下していることから、同様の制限因子であると考えられる。遠位橈尺関節背側にある伸筋群の硬さもあり、事務職という仕事上、マウス操作やタイピング動作などPC操作により、同組織の硬さが出てきたと推察した。運動連鎖より前腕回内・上腕骨内旋・肩甲骨下制・外転・下方回旋、腰椎は前湾・同側側屈となる。PC操作時における上肢肢位は、肘屈曲・前腕回内位であり、本症例では、右前腕の回内制限がある中での回内動作によって、上腕骨内旋、肩甲骨下制・外転・下方回旋がより強調され、体幹が右側屈傾向となる中で右腰部への筋緊張が増強したと推察した。</p><p>【介入内容および結果】</p><p>右前腕回内可動性を促す目的にて、右側の遠位橈尺関節背側周囲筋膜リリース、上腕二頭筋、回外筋リリース、近位橈尺関節モビライゼーション、三角筋リリースを行った。結果、右前腕可動性の拡大、右肩甲骨アライメント修正され、アプローチ前にあった体幹右側屈、右回旋側屈動作時痛は、即時的に改善された。仕事の合間などに、右肘伸展位での前腕回内・手関節底屈でのストレッチや、遠位前腕背側の自己リリース、上肢挙上位での体幹左側屈ストレッチ行うよう指導した。1週間後に確認した際にも、前腕の回内可動性は左右差なく、長時間座位時の痛みや体幹可動時痛も出現なく過ごせているとのことであったため、自己ストレッチ継続するよう指導し、リハ終了とした。</p><p>【結論】</p><p> 腰痛に対して、職業的な要素を踏まえて考えることで、前腕からのアプローチで症状を緩和させられることを経験した。オフィスワーカーなど、座位が長くPC操作の多い時に起こる腰痛などの症状に対して、前腕の評価の必要性を感じた。</p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>学術大会で報告する趣旨について、口頭で説明し同意を得た。</p>

収録刊行物

  • 理学療法学Supplement

    理学療法学Supplement 46S1 (0), H2-158_1-H2-158_1, 2019

    公益社団法人 日本理学療法士協会

キーワード

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282763134175360
  • NII論文ID
    130007693680
  • DOI
    10.14900/cjpt.46s1.h2-158_1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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