道徳教育における宗教-カントの道徳教育論の基底を問う試み-

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抄録

本稿の目的は、今まで主題化されてこなかったカントの人間形成論的な宗教的道徳教育を解明することである。カント哲学において宗教とは、自らの道徳的な義務を最高善を実現するために要請される神の命令とみなすことである。このような宗教を人間形成の場で見れば、現実的には道徳性を顧慮しながら自然にふさわしい形で早いうちから宗教を子どもに教える必要がある。子どもはここでは自らの良心に、不可解で非合理的にも自らの利益を顧みずに行為する道徳的義務への関わりが存在することに心揺さぶられ、良心の内に宗教的なものを見出し、宗教的世界に触れるようになる。このような体験が道徳的な関心を支え、絶え間ない道徳的修練を可能にする。さらには、地理的な学びを通して多様な宗教を捉えることで、子どもは良心における神的な存在という宗教的な同一性を多様な宗教に見出し、宗派にとらわれない寛容な世界市民としての道徳的な人間へと形成されるようになる。

収録刊行物

  • 道徳と教育

    道徳と教育 0(333), 31, 2015

    日本道徳教育学会

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