小腸原発顆粒球肉腫の1例

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抄録

<p>【症例】30歳代男性</p><p>【主訴】心窩部痛</p><p>【既往歴】なし</p><p>【現病歴】20XX年9月下旬より心窩部痛と便通異常を自覚した。近医にて上部消化管内視鏡、腹部超音波検査を施行されるが明らかな原因は指摘されず内服加療をされていた。症状が改善せず、3ヶ月で12kgの体重減少があり20XX+1年1月に当院を紹介受診された。</p><p>【経過】腹部CT検査にて回腸に壁肥厚所見を認め、近傍の腸間膜領域に腫大リンパ節を認めた。悪性リンパ腫や小腸癌の可能性を考え経肛門シングルバルーン小腸内視鏡を行ったところ、回腸に管腔内を占拠する巨大な発赤の強い腫瘤を認めた。拡大観察で腫瘤表面の絨毛は萎縮しており、cushion sign陽性の柔らかい腫瘤であった。生検組織ではびまん性に増殖するN/C比の高い異型円形核を有する腫瘍細胞を認め、免疫組織学的検討ではCD3陰性、CD20陰性、MPO陽性、CD34陽性と顆粒球系マーカーが陽性であった。骨髄検査では異常を認めず、回腸原発の顆粒球肉腫と診断した。腫瘍狭窄を来していたため、原発巣切除を行い、切除標本の病理結果は生検結果と同様の組織学的所見であった。顆粒球肉腫は経過中に急性骨髄性白血病に進展する可能性が高いため、術後は血液内科にてDNR-AraCによる寛解導入療法を行っている。</p><p>【考察】小腸原発の顆粒球肉腫は稀な疾患であり、術前に内視鏡生検にて確定診断された報告例は多くない。バルーン小腸内視鏡の普及により、今後は術前に内視鏡診断される症例が増加すると思われる。当院で経験した拡大観察を含む顆粒球肉腫の内視鏡所見を提示するとともに、若干の文献的考察を含めて報告する。</p>

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