産業保健サービスの存在は企業における高血圧および糖尿病のEffective Coverageを向上させる

  • 橋口 克頼
    産業医科大学 産業生態科学研究所 産業保健経営学 パナソニック健康保険組合 健康管理センター
  • 永田 智久
    産業医科大学 産業生態科学研究所 産業保健経営学
  • 森 晃爾
    産業医科大学 産業生態科学研究所 産業保健経営学
  • 永田 昌子
    産業医科大学 産業生態科学研究所 産業保健経営学 産業医科大学 産業保健データサイエンスセンター
  • 藤野 善久
    産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学
  • 伊藤 正人
    パナソニック健康保険組合 健康管理センター 産業医科大学 産業生態科学研究所 環境疫学

書誌事項

タイトル別名
  • Occupational Health Services Improve Effective Coverage for Hypertension and Diabetes Mellitus at Japanese Companies
  • Occupational health services improve effective coverage

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抄録

WHOは「各国・地域において,人々が経済的困難を伴わず保健医療サービスを享受すること」を目標としており,その指標としてEffective Coverage(EC)という概念を提唱している.ECとは“その国または地域における健康システムを通して,実際に人々に健康増進をもたらすことができる割合”と定義されており,産業保健の場面では治療が必要,もしくは治療を受けているうち,適切に疾病管理されている率に該当すると考えられる.本研究では産業保健サービスの効果を評価することを目的とし,「常勤の産業保健スタッフ(産業医または産業看護職)による労働者への産業保健サービスの提供は,高血圧,糖尿病,脂質異常症の各項目について,ECを向上させる」という仮説をたてて検証した.2011年度の一般健康診断,人事情報,及びレセプトからの個々のデータを分析した横断的研究である.特定の大規模企業グループの91,351人の男性労働者を対象とした.常勤の産業保健スタッフがいる事業場に所属する労働者(OH群)とそれ以外の事業場に所属する労働者(non-OH群)において高血圧,糖尿病,脂質異常症の各項目別にECを算出し,比較した.OH群はnon-OH群に比べて,高血圧・糖尿病において有意にECが高率であったが,脂質異常症については有意な差を認めなかった(高血圧aOR 1.41: 95%CI 1.20-1.66,糖尿病aOR 1.53: 95%CI 1.17-2.00,脂質異常症aOR 1.11: 95%CI 0.92-1.34).常勤の産業保健スタッフによる産業保健サービスの提供は,健康診断後の適切な管理に大きく影響する.

収録刊行物

  • Journal of UOEH

    Journal of UOEH 41 (3), 271-282, 2019-09-01

    学校法人 産業医科大学

被引用文献 (3)*注記

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参考文献 (15)*注記

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