固有ジョセフソン接合によるテラヘルツ発振器

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タイトル別名
  • A terahertz source from intrinsic Josephson junctions
  • コユウ ジョセフソン セツゴウ ニ ヨル テラヘルツ ハッシンキ

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抄録

<p>酸化物高温超伝導体は,層状ペロブスカイト結晶構造を有する.その中でもBi2Sr2CaCu2O8+δは,2枚のCuO2面から成る超伝導層間に,SrO-BiO-BiO-SrOの4原子層から成る絶縁層が挟まり,上下の面に配線すればジョセフソン素子として動作する.結晶構造そのものに素子構造が形成されている稀有(けう)の物質である.ジョセフソン素子を金属の超伝導体と酸化物絶縁体とで作製するときには,いかにして制御された接合界面を作るかが問題となる.一方,単結晶そのものがジョセフソン素子であるBi2Sr2CaCu2O8+δの界面は,結晶の並進対称性でその完全性が担保されており,界面が原子層レベルで平滑な理想的なジョセフソン接合を形成している.しかも多数のジョセフソン接合が結晶のc軸方向にアレイを形成している.さらに,高温超伝導体の高い超伝導遷移温度を反映して,超伝導エネルギーギャップが1桁大きいことから,交流ジョセフソン振動数の上限が,金属系の〜1THzに対して,10THzへと広がっている.厚さ1.5µmの結晶には,103の接合が直列し,これらが位相整合して発振すれば,106倍の出力が期待されるため固有ジョセフソン接合は,テラヘルツ周波数領域の新たな光源として期待されている.</p>

収録刊行物

  • 応用物理

    応用物理 84 (5), 438-443, 2015-05-10

    公益社団法人 応用物理学会

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