幼若雄マーモセット由来伸長精子細胞からの産仔作出

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  • Birth of a marmoset following injection of elongated spermatid from a prepubertal male

抄録

<p>【目的】マーモセットは小型非ヒト霊長類実験動物である。2009年のトランスジェニック系統作出成功の報告以降,ヒト疾患モデル動物としての期待が高まっているが,世代間隔が2年以上と齧歯類と比べて長いことが遺伝子改変系統樹立を困難にしている。そこでマーモセットにおける世代間隔の短縮を目的として,マーモセット未成熟精子を用いた産仔の作出を試みた。我々はマーモセット精巣において生後10–11ヶ月齢で円形精子細胞,12ヶ月齢で伸長精子細胞・精子が存在していること,さらにマウス未受精卵への顕微注入により,後期円形精子細胞において卵子活性化能が獲得されることを報告した(Ogonuki et al. Mol Reprod Dev 2018)。そこで今回,生後11ヶ月齢の未成熟雄マーモセット精巣由来精子細胞をマーモセット卵子に顕微注入し,胚移植を実施した。【方法】生後11ヶ月齢の雄より片側精巣を麻酔下にて採取し,酵素処理を施して精細胞の回収を行った。また,卵巣刺激を施した雌の卵巣よりGV卵を回収,成熟培養により得られたMII卵子に精巣精子,伸長精子細胞および後期円形精子細胞の顕微注入を行った。注入後,胚培養を行い,一部の胚については胚移植を行った。【結果】顕微注入後の前核形成率は,精巣精子注入(ICSI)胚 100%(3/3),伸長精子細胞(ELSI)胚69%(11/16),後期円形精子細胞(ROSI)胚 63%(5/8)であった。ICSI胚は8細胞期まで,ELSI胚は桑実期まで発生したが,ROSI胚は6細胞期で発生停止した。ICSI胚2個,ELSI胚2個をそれぞれレシピエント雌に胚移植したところ,後者で妊娠が認められ,メス1匹の出産に至った。以上の結果より,マーモセット伸長精子細胞は,マーモセット産仔作出能を持っていることが明らかになった。また,未成熟雄を用いた産仔獲得は,霊長類においては初の事例である。(本研究の一部は,AMED「革新的技術による脳機能ネットワークの全容解明プロジェクト」により実施された。)</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001277355794688
  • NII論文ID
    130007719226
  • DOI
    10.14882/jrds.112.0_or1-30
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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