暑熱負荷培養時のウシ子宮内膜上皮細胞における酸化ストレスの検証

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タイトル別名
  • Effect of oxidative stress on bovine uterine epithelial cells under heat stress

抄録

<p>【目的】夏季の暑熱ストレスに伴い引き起こされる酸化ストレスは,人工授精受胎率低下など,家畜の繁殖性に悪影響を及ぼすことが知られている。これまでに,ウシの卵子や卵巣の機能,胚発生などに異常をきたすことが報告されているが,母体子宮に関しては暑熱ストレスにより酸化ストレスが引き起こされるかどうかは不明である。一方子宮は,妊娠成立過程において着床の場となる重要な組織であり,正常な受胎の前提条件として,子宮が健全であることが必須である。本研究では,子宮においても暑熱ストレスに伴い酸化ストレスが引き起こされるかを検証した。【方法】と場由来のウシ子宮組織から子宮内膜上皮細胞を単離,培養した。単離した上皮細胞を牛の平常時の体温である38.5℃および暑熱時の体温である40.5℃の暑熱条件下で12時間培養した後,CellROX® Green Reagentを用いて,マイクロプレートリーダーでの蛍光強度測定および蛍光顕微鏡により活性酸素種(ROS)を検出した。また,同様に培養した細胞からRNA抽出,cDNA合成を行い,リアルタイムPCRにより,酸化ストレスの指標である抗酸化酵素の遺伝子; SODスーパーオキシドジスムターゼ),GPXグルタチオンペルオキシダーゼ),CATカタラーゼ)の発現量解析を行った。SODについては,CuZnSODおよびMnSODの2種類の遺伝子を解析した。【結果と考察】蛍光強度には暑熱負荷による影響はなかった。蛍光シグナルの観察では細胞の核と細胞質の両方において強い蛍光シグナルがみとめられた。抗酸化酵素の遺伝子の発現量は,MnSODGPXCAT遺伝子の発現量に有意な影響はみられなかったが,CuZnSOD遺伝子の発現量は暑熱負荷により有意に増加した。これらの結果から,12時間の暑熱負荷培養により,ウシ子宮内膜上皮細胞で酸化ストレスが引き起こされたことが示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390564227312602752
  • NII論文ID
    130007719344
  • DOI
    10.14882/jrds.112.0_p-75
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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