Integrifolinの全合成

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  • Total Synthesis of Integrifolin

抄録

<p>[概要]</p><p> Integrifolin 1は1984年にAndryala integrifoliaから単離・構造決定されたguaianolide類であり[1]、培養ヒトがん細胞増殖阻害作用を示すことが報告されている[2]。構造的特徴として、ビシクロ[5.3.0]デカン骨格上に6つの不斉中心を有しており、また三カ所のexo-メチレン部位を持つ点が挙げられる。このようなexo-メチレン基を三カ所有するguaianolide類はいくつか単離報告例があるが、exo-メチレン基は酸・塩基性条件下で異性化しやすく、また特にα-メチレンラクトン部位はMichael受容体として反応性が高いため、これら類縁体の合成例は少ない[3]。Integrifolin 1もまた全合成の報告はなく、その合成においては、必要な官能基および立体化学を有するビシクロ[5.3.0]デカン骨格を効率よく合成すること、また三カ所のexo-メチレン基の導入が課題となる。</p><p> 一方、当研究室では鎖状のトリエンイン2に対し、触媒量のW(CO)6、NEt3存在下、トルエン溶液中で光照射することにより、立体選択的にビシクロ[5.3.0]デカン誘導体3が合成できることを報告している(Scheme 1)[4]。本環化反応は、アルキンの求電子的活性化を契機とし、シクロプロパン化反応、コープ転位、カルベン錯体の1,2水素移動によって環化体3が得られる。また反応は立体特異的に進行するため、シロキシジエン部位およびエンイン部位の幾何配置を適切に選択することで、望みの立体化学を有する環化体3を簡便に合成できる。そこで我々はこの環化反応を鍵反応としたintegrifolin 1の初の全合成を目的とし、以下に示す合成計画を立てた(Scheme 2)。</p><p>[合成計画]</p><p> 環化前駆体として、エンイン末端にラクトン部位構築のためのヒドロキシエチル基、シロキシジエン末端に水酸基等価体であるシリル基を有する鎖状トリエンイン4を合成し、環化反応によって三カ所の不斉中心を持つビシクロ[5.3.0]デカン誘導体5を合成する。環化体5からintegrifolin 1の全合成を達成する上で以下の三つの変換が重要になると考えた。</p><p> </p><p>*現在の所属:学習院大理</p><p>A. 10位メチル基の導入と8位シリル基の水酸基への変換</p><p>B. ジエン部位の酸化による3,6位酸素官能基の導入</p><p>C. 三カ所のexo-メチレン基の導入</p><p>[ビシクロ[5.3.0]デカン誘導体の合成]</p><p> 環化前駆体であるトリエンイン11、およびその環化反応によるビシクロ[5.3.0]デカン誘導体12の合成を行った(Scheme 3)。出発原料として市販されている5-ヘキシン-1-オールを用い、常法に従いプロパルギルアルコール9を合成した。続いて、白金触媒であるKarstedt触媒を用いた末端アルキン部位のヒドロシリル化反応により、アルケニルシランへと変換した。TMS基の脱保護、アリルアルコール部位の酸化により不飽和ケトン10へと変換した後、薗頭カップリングによるエンイン部位の構築、不飽和ケトン部位のシリルエノールエーテル化を行うことで環化前駆体である鎖状のトリエンイン11を合成した。鍵反応である環化反応は、10 mol%のW(CO)6、1当量のNEt3</p><p>(View PDFfor the rest of the abstract.)</p>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390845702294189696
  • NII論文ID
    130007722903
  • DOI
    10.24496/tennenyuki.58.0_poster5
  • ISSN
    24331856
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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