日本人英語学習者の曖昧文理解における動詞下位範疇化情報の使用

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書誌事項

タイトル別名
  • Difference between L1 and L2 Language Processing in the Use of Subcategorization Information Evidence form Syntactic Priming
  • ―統語的プライミング効果に見られる母語話者との違い―

抄録

<p>本稿は,母語話者と学習者の文理解における質的差異を明らかにするため,英語母語話者と日本人英語学習者の英文理解における動詞の下位範疇化情報が与える影響について統語的プライミングを用いた検証を行った。実験の結果から,日本人英語学習者は動詞に対して正しい下位範疇化知識を持っており,自動詞と他動詞両方に見られる処理負荷は異なる漸次的処理から引き起こされている。そして,エラーに基づく学習効果は動詞を見た時点での予測の誤り(エラー)が補正されることによって起きていることが示された。これらの結果は,学習者が正しい下位範疇化情報を持っているにもかかわらずその情報をオンラインの統語構造分析で使えないという矛盾を説明し,学習者に特徴的な文処理方略を理解する上で重要な結果となった。さらに本研究は,文構造の予測が過去の言語使用の経験から蓄積された情報に基づいて計算されるとする文理解モデルを支持し,第二言語習得研究のみならず人間の文理解モデルを明らかにする上でも重要な証左となった。</p>

収録刊行物

  • 言語研究

    言語研究 155 (0), 1-33, 2019

    日本言語学会

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390282752341045888
  • NII論文ID
    130007723497
  • DOI
    10.11435/gengo.155.0_1
  • ISSN
    21856710
    00243914
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
    • KAKEN
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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