うつ病の炎症性神経障害仮説

  • 岩田 正明
    鳥取大学医学部 脳神経医科学講座 精神行動医学分野

書誌事項

タイトル別名
  • The neuroinflammatory hypothesis of depression
  • ウツビョウ ノ エンショウセイ シンケイ ショウガイ カセツ

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抄録

うつ病の病態仮説は,これまでのモノアミン仮説から,モノアミンの活動の基盤となるシナプスやスパインの異常といった神経可塑性仮説に軸足を移しつつある。ケタミンやその類似薬が可塑性にフォーカスした即効性の抗うつ効果において注目されている一方,うつ病において神経が病的な可塑的変化をきたすメカニズムについては十分に解明されていない。うつ病発症の大きな要因であるストレスは神経の萎縮やスパインの減少を引き起こすが,この過程にうつ病の病態の大きな謎が隠されている。我々はストレスが生体の「免疫機構」によって感知され,その結果脳内で炎症反応が引き起こされることを見いだした。放出された炎症性サイトカインは神経障害を引き起こすことから,過剰な免疫応答の抑制をターゲットとした治療法が,うつ病治療の新しい切り口となる可能性がある。本稿ではその取り組みについて報告する。

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