インドネシア・スマトラ島の熱帯雨林における降雨流出特性の現地観測とモデリング

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タイトル別名
  • Field Observation and Modeling of Rainfall-Runoff Process in a Humid Tropical Forest in Sumatra, Indonesia

抄録

<p>インドネシアを含む熱帯地域では、地球温暖化によって降水量が変化し、洪水や渇水のリスク増大が懸念されている。また人口増加や土地開発が著しい地域においては、気候変動の影響に加えて、大規模な森林伐採を伴うプランテーション等の土地利用変化が、流域の水循環を変化させる。気候変動・土地利用変化の影響を分析するためには環境場の変化に対する応答を的確に予測できるモデルが必要となる。これまで開発された水文モデルの多くは温帯湿潤域の流出特性を反映したものであり、例えば筆者らが開発を進めてきたRRIモデルは1 m程度の土層厚を想定し飽和側方流を主要な流出過程とみなす。一方、熱帯雨林では、数mに及ぶ厚い土層が地表を覆っており、既存モデルを適用できるか明らかではない。そのため、本研究はスマトラ島のバタンハリ川流域(42,960 km2)中流部に設置した観測サイトにおいて、地下水位や土壌水分を計測するとともに、飽和・不飽和浸透解析を実施して熱帯雨林特有の厚い土層厚で規定される流出機構について考察する。</p><p> 観測の結果、斜面下部で土層中に恒常的な地下水が存在していること、その水位が降水によって短時間のうちに1.5 m程度変動していることが明らかになり、降水の早い浸透が示唆された。その背景には高い透水性と吸着性を有する当該地域の土壌特性が寄与していることが分かった。また鉛直浸透解析の結果、パーム林に転換することで、表層の浸透能が低下し、降水イベント中の地下水涵養が減少することが示唆された。</p>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390846609779888256
  • NII論文ID
    130007760013
  • DOI
    10.11520/jshwr.32.0_206
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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