熱傷瘢痕に生じた皮膚疣状結核の 1 例

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Tuberculosis Verrucosa Cutis on a Burn Scar : A Case Report

この論文をさがす

抄録

<p>60歳代,男性。初診の 6 年前に右前腕部に熱傷を受傷。その後,一旦治癒したが,同部位に瘙痒を伴う結節が出現し,徐々に拡大してきたため,約 1 年前に前医を受診した。ステロイド外用剤を処方されるも改善なく,当科へ紹介となった。初診時,右前腕に 12×16 cm 大の紅色局面を認め,辺縁には馬蹄状に配列する一部疣贅状の痂皮を伴った結節を認めた。結節部から皮膚生検を施行したところ,病理組織像で類上皮細胞肉芽腫を伴う慢性炎症を認めるものの,乾酪壊死像は明らかではなかった。皮膚生検組織の結核菌培養検査にて Mycobacterium tuberculosis complex が検出された。全身精査では皮膚以外に結核病巣は認められず,本症例を結核菌の直接接種により生じた皮膚疣状結核と考えた。その後,抗結核薬 4 剤の標準的治療を開始し,疣贅状結節は治療に伴い徐々に改善した。 6 ヶ月の標準治療で軽快し,その後再発を認めていない。本邦における皮膚疣状結核の報告では乾酪壊死を認める症例は稀であり,病理組織学的に乾酪壊死像の欠如は結核の除外診断に必ずしもつながらない。難治性の疣状病変は,皮膚疣状結核も鑑別の一つに入れ,病理組織検査に加えて抗酸菌培養検査も行うことが重要であると考える。 (皮膚の科学,18 : 216-221, 2019)</p>

収録刊行物

  • 皮膚の科学

    皮膚の科学 18 (4), 216-221, 2019

    日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ