治療に難渋した眼窩骨膜下膿瘍の例

  • 東海林 静
    東京都立多摩総合医療センター耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 中屋 宗雄
    東京都立多摩総合医療センター耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 伊東 明子
    東京都立多摩総合医療センター耳鼻咽喉科・頭頸部外科
  • 木田 渉
    東京都立多摩総合医療センター耳鼻咽喉科・頭頸部外科

書誌事項

タイトル別名
  • A Case of Difficult to Treat Orbital Subperiosteal Abscess

抄録

<p>鼻性眼窩合併症の一つである眼窩骨膜下膿瘍に対して3回の膿瘍切開術を施行し,治療に難渋した症例を経験した。症例は20歳女性で,当院受診2日前より左眼痛を自覚し,副鼻腔炎の波及による眼窩蜂窩織炎が疑われ当科紹介となった。CTより左急性副鼻腔炎,左眼窩骨膜下膿瘍及び左眼瞼蜂窩織炎の診断で,緊急で左内視鏡下鼻副鼻腔手術(Endoscopic Sinus Surgery; ESS)および経鼻的左眼窩骨膜下膿瘍切開術を施行した。眼窩上外側を複数回洗浄したが壊死組織は除去しきれなかった。眼瞼腫脹は一旦改善認めたが入院3日目より再度増悪があり,CTで眼窩内側部分は改善を認めていたがドレーン挿入部より外側に軟部組織陰影を認め,ESSに加え眉毛部外切開併用での2回目の膿瘍切開術を施行した。入院8日目に眼窩上壁の外側後方に膿瘍残存を認め,3度目の眼窩骨膜下膿瘍切開術を施行し,さらに細菌培養検査より嫌気性菌が検出されメトロニダゾールの内服を開始した。炎症所見の改善を認め入院21日目に退院となった。</p><p>感染巣のコントロールのためには,眼窩の機能障害を来さない範囲で壊死組織の除去を目指すべきである。本症例では,初回手術時に内視鏡下に壊死組織を確認したが,内視鏡単独の操作では壊死組織と眼窩内容物との位置関係の把握が困難であり,壊死組織の除去が不十分であった。内視鏡下で壊死組織の除去が困難であれば,外切開による手術を併用する必要があると考えられた。</p>

収録刊行物

参考文献 (4)*注記

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