北大西洋亜寒帯域の上部鮮新統―下部更新統堆積物の珪藻:1. <i>Thalassiothrix antarctica</i>

DOI Web Site 被引用文献1件 オープンアクセス
  • 林 辰弥
    九州大学・比較社会文化研究院・地球変動講座
  • 大野 正夫
    九州大学・比較社会文化研究院・地球変動講座

書誌事項

タイトル別名
  • Diatoms in upper Pliocene–lower Pleistocene sediments, subpolar North Atlantic: 1. <i>Thalassiothrix antarctica</i>
  • Diatoms in upper Pliocene-lower Pleistocene sediments, subpolar North Atlantic(1)Thalassiothrix antarctica

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抄録

<p>Thalassiothrix antarcticaは現在の南極大陸周辺の海域に棲息し,T. longissimaは北半球の寒冷水域を好む海生珪藻である。この両種の対照的な棲息分布は,化石記録においても同様であると考えられてきた。しかし,本研究によって北大西洋亜寒帯域の上部鮮新統−下部更新統堆積物を調査した結果,T. longissimaは見つからず,代わりにT. antarcticaが多産することが分かった。調査したT. antarcticaは形態の異極性を示す:頭部は,2つの棘と胞紋域の終わりに唇状突起を持つ;足部は,棘を持たず無紋域の末端に唇状突起を持つ。また,中腹部には,T. antarcticaの特徴である,ねじれやS字状に湾曲した構造を持つ。鮮新世の後半から更新世の前半にかけては,北半球高緯度域の大陸氷床が本格的に成長し,氷期−間氷期サイクルが開始した移行期である。それに伴う海洋環境の変化によって,T. antarcticaは北半球から姿を消したのかもしれない。</p>

収録刊行物

  • Diatom

    Diatom 35 (0), 18-27, 2019-12-25

    日本珪藻学会

被引用文献 (1)*注記

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